わたしは光をにぎっている
中川龍太郎監督/徳永えり/松本穂香/渡辺大知

11月16日、新宿武蔵野館にて、映画『わたしは光をにぎっている』の公開記念舞台挨拶が行われ、主演・松本穂香、渡辺大知、徳永えり、中川龍太郎監督が登壇。トーク終盤では、中川監督から松本穂香に宛てたサプライズで手紙を披露し、愛?の告白を渡辺大知が代読した。(ビデオ&フォトギャラリー)

中川監督は、デビュー作からこれまで海外の映画祭で数々の賞を受賞し、前作『四月の永い夢』がモスクワ国際映画祭で2つの賞を受賞している。
主人公・宮川澪役の松本穂香は、初号試写で本作を観て、「自分が出演した映画でこんなに泣いたのは初めてです」と語る。事実、松本自身の分身のような役で、風景に溶け込む透明感溢れるその姿は、岩井俊二監督の名作『四月物語』(98)のヒロインを演じた女優松たか子を彷彿とさせるという絶賛の声がマスコミから寄せられている。

舞台挨拶レポート

舞台挨拶全編は動画でもどうぞ!

わたしは光をにぎっている

温かい気持ちになって流れた涙

– 公開日を迎えて今のお気持ちは?

松本穂香(宮川澪 役)
公開したのがなんか不思議な気持ちです。試写で見てからすごい好きな作品だなぁって思って、この映画がいろんな人に愛されたらいいなって思ったことをすごい覚えていて、昨日公開して、皆さんが映画を観てくれて、いろんな感想をいただいて、嬉しい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

松本穂香
松本穂香

– 完成した作品をご覧になって涙を流されたと伺いましたが。

松本穂香
こんなに客観的に自分が出ている映画を観たのは初めてだったのもありますし、すごく純粋に好きな映画だなとも思って、普通に映画を楽しんで温かい気持ちになって流れた涙だったんだと思います。

松本穂香

中川龍太郎監督
ちょうど1年前にみんなで作った作品で、自分が住んでいた古里が都市開発で様変わりしたという実体験がきっかけで、ひとり、ふたりと仲間が増えていって作ることができた映画です。なので、こうやって皆さんに観ていただけるというのはすごい嬉しいというのが一番思うところです。
試写会の時は、自分の作った作品なのでアラばっかりが見えてしまってたんですが、松本さんはすごい泣かれてて、作って良かったなとその時は思いました。

小さい頃の思い出ごと無くなってしまったことがきっかけ

– 馴染んだ町が区画整理や都市開発で変わっていくところを映画にしようと思われたきっかけは?

中川龍太郎監督
私は川崎市の登戸で生まれ育ったんですけど、久しぶりに行ってみたら、都市開発の影響で、自分の家がどこにあったのかもわからないくらい違う町に様変わりしていたんです。そのことが私の小さい頃の思い出ごと無くなってしまったような悲しい気持ちがして、こういうことは自分のことだけじゃなくて、日本中で起きていることなんだろうなと思って、これは映画にしなくてはならないと最初に感じたのがきっかけです。

中川龍太郎監督
中川龍太郎監督

– 今の監督のお話を受けてみなさんはどのように思われますか?

徳永えり(島村美琴 役)
個人的な考えですけど、これは映画にする意味があるものだと感じました。無くなってしまうものを、ただ映像に撮るだけではなく、そこに意味を見出すのもそうですし、仕方が無いって言ってしまうだけだと、町が変わっていく様というのがすごく悲しい話だと思うんですよ。
それをこういう素敵な形(映画)で残せたっていうことは、気持ちいい終わり方のひとつなんじゃないかなと思いました。

徳永えり
徳永えり

松本穂香
監督もそうだけど、監督だけじゃなくて、そういう気持ちを感じている方はたくさんいると思うので、銭湯もそうですけど、(ロケ地となった)“伸光湯”さんも先日ほんとに閉店になってしまって。映画ってずっと残っていくものだから、えりさんの言ったように意味があることなのではと思います。

渡辺大知(緒方銀次 役)
僕は兵庫県神戸市の出身で、学生時代、バンドをやっていたみんなで集まってたむろしていたライブハウスがあったんですが、昨年そこが無くなってしまって、今はマンションになってるんです。
やっぱり思い出がたくさんつまっていますし、そこに集まっていた人たちはこれからどこに行くんだろうって、そういう意味で寂しくはありました。
でも、その新しいマンションの中でこれからいろんな良い思い出が育まれたらいいとも思いますし、僕らも僕らで生活は変わりますけど、ライブハウスに集まっていたおっちゃん達も、違う居心地が良い場所を見つけるんだと思いますし、その生活の変化みたいなのを楽しんでいくことの方が大事なのかなって。今ワクワクしている場所があるのかっていうことの方が重要なのではと思います。今自分の目の前にある好きな場所を増やしていきたいと思っています。

渡辺大知
渡辺大知

物語の中心を銭湯にした理由

– この物語の中心がなぜ銭湯だったのでしょうか?

中川龍太郎監督
今の大知くんの話と繋がってきますが、新しいマンションでまた新しい思い出ができていくだろうことは、その通りなんですが、同時にまったくの他者と偶発的に出会う空間としてライブハウスはあっただろうし、銭湯もまさにそういう存在です。
自分自身も銭湯が好きでよく行くんですけど、一番風呂に入っているとおじいちゃんとかが必ず話しかけてくれたり、そういうことが起きるわけですね。やっぱり人間の幸福度って仕事とか関係なく、まったく知らない人と言葉を交わすっていうのは日々の豊かさと繋がっているような気がして、そういうことができる空間、ある意味昔は映画館もそうだったかもしれないし、銭湯はまさに今残っている数少ないそういう場所だと思います。そういう思いがあって今回、銭湯をロケ地にしました。

カット前に監督がカメラの前に飛び出してきた!

– お気に入りのシーンや、実は大変だったんだっていうシーンがありましたら教えて下さい。

徳永えり
私、とても印象に残っているがひとつあります。商店街でのシーンなんですが、撮影が終わるかどうかのところで、中川監督が「カット!」を言うより先に「最高だったよ!」ってカメラの前に出てきてしまったんですよ。私たちはカットがかかるまでは一応芝居を続けているのに(笑)
こんなことは初めてのことでした(笑)

中川龍太郎監督
徳永さん、爆笑されてましたよね。
実はあの後、助監督に「なんですかこれは!」怒られたんです。(徳永さんの)セリフが終わってなかったって。

わたしは光をにぎっている

渡辺大知
僕は、スッポンの卵の焼酎漬けを食べるシーンですね。
一度味見していいですか?って聞いたら、初めて食べる顔を撮りたいからって言われて。そのとおり、酒爆弾と言うような強烈な味で、バラエティ番組の罰ゲームみたいなリアクションになってしまいました(笑)

寒い湖のシーンも楽しかった

渡辺大知
松本さんは湖でのシーンが多いですよね。寒くなかったですか?

松本穂香
そうですね。真夜中の3時半スタートとかもありましたし。
でもスタッフさんもすごいなと思いました。その寒い中、照明さんも水の中にザブザブ入っていかれて。私も寒いなんて言ってられないなと思いました。でもすごい気持ち良いシーンでした。
私も湖の中に入りましたが、ずっと入っていたら温かくなってくるというか、マヒしてるだけなんですけど、楽しかったです。

松本穂香

中川監督から松本穂香へ“溢れる想い”の手紙

中川監督が照れくさいということと、渡辺大知演じる緒方銀次が監督の分身ということで、なぜか渡辺大知が手紙を代読することに。

わたしは光をにぎっている

渡辺大知(手紙代読)

松本穂香さんへ。
撮影が終わってちょうど一年。宣伝活動を通して『私は光をにぎっている』という作品を僕はようやく理解できた気がしています。
地方キャンペーンの最中、あまりにもポニーテールが素敵で、次に機会があったらどんな風に松本さんを撮らせてもらおうか、そればかりを考えて気が散っていました。今回は、あまり引き絵ばかりでせっかくの素敵な笑顔も、繊細なお芝居も見えづらかったので、次はアップのある映画にしましょうか。
日本は、だんだん夏と冬しかない国になっているように感じます。もうだいぶ寒くなってきたように感じられますが、この今も澪さんはどこかの町の、どこかの番台で何をしているのかな。コロッケをかじっているかもしれないし、イラストを描いているかもしれない。
20年後もお互い元気に映画を作っていたら、すっかり名物おばさんになった澪さんのその後を描きましょうね。何かが失われても、何かが紡がれますように。
松本さんは僕にとって灯火です。
令和元年十一月十五日 中川龍太郎

中川龍太郎監督
独特の恥ずかしさがありますね。

渡辺大知
これはなんですか?僕はラブレターを代読させられたんですか?

徳永えり
公開ラブレターですか?

中川龍太郎監督
この映画の中ですごく思ったのは、やっぱり澪さんと、大知くん演じる銀次の恋愛のような要素がどうなっていくのか非常にフワッとした形で描かれているから、だから大知くんから読んでもらうといいのかなって。演出です!

渡辺大知
なるほど!

– 松本さん、いかがですか?

松本穂香
そうですね、ポニーテールのところで一回引っかかっちゃったんですけど、監督らしい、優しくて素敵な言葉で伝えてくれて、この先も監督に映画で私を撮ってもらいたいなと思いました。ありがとうございます。

松本穂香

最後にメッセージ

松本穂香
日々、モヤモヤとかいろいろ積み重なって、疲れちゃっている人がすごく多いと思うんですけど、そういう人に優しく寄り添ってくれる・・・とまでは言えないかもしれないけど(笑)、豊かにしてくれる映画だと私は思っています。今私はこの映画をすごく観たいです。ちょっと疲れているので(笑)
そういう人がたくさんいると思うので、いろんな人に勧めてくれたら嬉しいです。

松本穂香

中川龍太郎監督
非常にこじんまりとしたささやかな物語ではあります。と同時に、今この時代だからこそ、自分としては是非観てもらいたい作品でもあります。是非、皆さまの率直なご意見をよろしくお願いします。

フォトギャラリー

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[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]

映画『わたしは光をにぎっている』

【ストーリー】
宮川澪、20歳。ふるさとを出て、働き出した。
友達ができた。好きな人ができた。その街も消える、もう間もなく。
なんとなく東京へ出てきたが、仕事も人付き合いもうまくいかない澪。ある時から古い銭湯を手伝い始め、昔ながらの商店街の人たちとも交流するようになり、少しずつ都会の暮らしにも喜びを見出していく。だが、やっと見つけた居場所が、もうすぐなくなってしまうと知った澪は、「しゃんと終わらせる」決意をする──。「閉店します」の貼り紙、一夜で壊される建物、路地から消える子どもたちの声──今、日本は発展や再開発の名のもとに、大きく変わろうとしている。<失われてゆくもの>を、感謝を込めて丁寧に送り出すことで、前へ進もうとする澪は、現代に生きる私たちに大切なものが終わる時にどう向き合うかを、まっすぐな瞳で伝えてくれる。

出演:松本穂香 渡辺大知 徳永えり 吉村界人 忍成修吾/光石研/樫山文枝
脚本・監督:中川龍太郎 『四月の永い夢』   主題歌:カネコアヤノ「光の方へ」
脚本:末木はるみ 佐近圭太郎 脚本協力:石井将 角屋拓海 チーフプロデューサー:和田丈嗣 プロデューサー:藤村駿 木ノ内輝
製作:WIT STUDIO 制作:Tokyo New Cinema 配給:ファントム・フィルム
©2019 WIT STUDIO / Tokyo New Cinema
公式サイト:http://phantom-film.com/watashi_hikari/

11/15(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー