現在、都内で『この世界の(さらにいくつもの)片隅に[特別先行版]』のマスコミ試写が行われています。先日終了した第32回東京国際映画祭のP&I(プレス&インダストリー)上映(11月3日)で本作を鑑賞した、当メディア記者Iが「悲しくてやりきれない」という曲がより胸に染み渡ったと深い感動を訴えていたので、私(記者J)もドキドキしながら本日、試写室に入りました。

いくつもの片隅に
試写ではプレスシート(20P構成)も配布された(その下にあるのは、東京国際映画祭ワールドプレミアで配布されたA4コピー用紙の暫定版マスコミ向け資料)

マスコミ向け試写だけあって、上映前の待機時間、上映室シートでノートPCをカタカタとタイピングしている記者さんもあちこちに。
そんな記者さんたちも、上映が始まると、食い入るようにスクリーンを見つめ、中には中盤あたりから目頭をハンカチでおさえる人も。
そういう私も何度も胸に迫るものがありました。そして終映。
当メディアの記者Iが言ってたように、「悲しくてやりきれない」思いがさらに深く心に染み渡ったのはその通り。ただ、より悲しい分、物語の終焉は、より光り輝いても見えました。
11月4日に行われた東京国際映画祭ワールドプレミア舞台挨拶でコトリンゴさんが、「たんぽぽ」という曲をより重厚感あるアレンジで再録したと語られています。前作でもそうであるように、この曲は物語終盤で流れますが、「いくつもの片隅に」では物語終盤がより光り輝いている分、この新しい「たんぽぽ」が見事にリンクしてきます。

いくつもの片隅に
11月4日ワールドプレミアより

10月28日の東京国際映画祭レッドカーペットでのインタビューで、のんさんは「新しい映画としても注目していただけますし、また前作も観たくなると思います」と語っていました。
同じように、片渕監督も「『この世界の片隅に』という映画があって、でも『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』というのは、また新しい映画だというつもりで作りました。」と述べています。

これらの言葉のとおり、『いくつもの片隅に』は、同じ作品の単なる長尺版という一言では片付けられない、いや、もはや長尺版という言葉はふさわしくないのではと思わせてくれます。同じ作品なんだけど、まったく新しい作品。そういう不思議な感情と感動で心の中が溢れます。

のん
のん(11月4日ワールドプレミアより)

前作『この世界の片隅に』に、新たに250を越えるカットが描き加えられた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。12月20日の一般公開時はさらにシーンが追加されると片渕須直監督が語っている本作は、すずさんの日常を通して、さらにいくつもの人々との出会いと感情の揺れ動きを観客は体験し、新たな物語へと誘われます。
公開されたら、また大きな評判を呼ぶのは間違いないでしょう。

いくつもの片隅に
コトリンゴ/のん/片渕須直監督/岩井七世

【インタビュー動画】のん&片渕須直監督第32回 #東京国際映画祭 レッドカーペット(動画前半)

[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』

【Introduction】

210万人の胸を震わせたあの場面が、まったく異なる印象で迫ってくる。
この映画は、大ヒット映画『この世界の片隅に』の単なる長尺版ではない。250カットを超える新エピソードによって、これまで目にしていたシーンや人物像が、まったく異なる印象で息づきはじめる。『この世界の片隅に』を知る人も、知らない人も 1 本の‟新作“として体感することになるだろう。すずの内面を大人の表現で魅せる女優のん、岩井七世(リン役)、細谷佳正(周作役)など、前作のキャストがパワーアップして再集結。さらに遊郭の女性テル役として花澤香菜が初参加。コトリンゴによる書き下ろしの新曲と共に、私たちを新たな世界へといざなう。

【Story】
誰もが誰かを想いひみつを胸に 優しく寄り添う
広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。

声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/花澤香菜/ 澁谷天外(特別出演)
原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊) 企画:丸山正雄 監督補・画面構成:浦谷千恵 キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
美術監督:林孝輔 音楽:コトリンゴ プロデューサー:真木太郎 監督・脚本:片渕須直
製作統括:GENCO アニメーション制作:MAPPA 配給:東京テアトル 製作:2019「この世界の片隅に」製作委員会 ©2019 こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会
公式サイト:ikutsumono-katasumini.jp

12月20日(金)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開

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