8月21日、オダギリ ジョー長編初監督作品『ある船頭の話』の完成披露試写会舞台挨拶が、スペースFS汐留(東京都港区)で行われ、オダギリ ジョー監督、主演の柄本明、川島鈴遥(かわしまりりか)、村上虹郎が登壇した。(動画&フォトギャラリー)

ある船頭の話
村上虹郎/柄本明/川島鈴遥/オダギリ ジョー監督

本作はその着想を10年前にオダギリ自身が得たもの。だが、「俳優だから撮らせてもらえる」と片手間に監督業に手を出していると思われるのが嫌でストップしていた。
その後、本作で撮影監督を務めているクリス(クリストファー・ドイル)との出会いが、オダギリを変えた。
クリス監督作品『宵闇真珠』でクリスと現場を共にしたオダギリは、クリスから「何で監督をやらないんだ。お前が監督をするなら俺がカメラをやるから」と言われたことで、「クリスと何か面白い事をやりたい」という気持ちが膨らんだという。

『ある船頭の話』は、まだ日本の原風景が残るロケーションで撮影されているが、オダギリは、「クリスは日本の風景の切り取り方が独特で、僕らが気づかない日本の美しさをしっかりと収めてくれている。」と語る。それに加えて、日本人女性初の米アカデミー賞最優秀衣装デザイン賞を受賞したワダエミが本作の衣装を担当したことにより、より国籍・時代を特定させない雰囲気を演出している。

「いわゆる商業映画と言われる日本映画の主流とは違う映画だが、こんな映画があってもいい」と、オダギリが語るように、その作家性が評価されたのであろう、8月28日より開催される第76回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門(コンペティション)への出品も決定している。

映画『ある船頭の話』は、9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開。

舞台挨拶レポート

ある船頭の話
登壇した4人は、ポスタービジュアルの赤と黒でコーディネートした衣装で身を包む。

舞台挨拶は動画でもどうぞ!

いつもより何倍も緊張

オダギリ ジョー監督
普段は、俳優として舞台挨拶に立つことが多いので、今日は初めて監督としてこういう経験をしていて、いつもより何倍も緊張しています。

ある船頭の話
オダギリ ジョー監督

過酷な撮影現場

– 過酷な自然の中で生きるトイチ役を演じられた柄本明さん。撮影現場はいかがでしたか?

柄本 明(トイチ 役)
撮影は昨年のちょうど今頃、7~8月の約40日間。そして今年の1月に10日間くらい、冬のシーンの撮影がありました。
夏の40日間はとにかく撮影現場も過酷でした。ほんとに大変でした。映像としては綺麗なので、監督が思い描いたロケーションだと思うんですが、岩場で足場が悪い中、そして川の流れも悪い中で舟を漕いだり、大変な撮影でした。

– そんな大変な中、主人公ですからずっと出ているわけなんですよね。

柄本明
そうなんですよ。毎日毎日、なんでこんなに疲れるんだろうと思ったら、全シーン出ているから、それは疲れるなって。

ある船頭の話
柄本 明

100名オーディションからヒロイン抜擢

– 100名のオーディションの中からヒロインに抜擢された川島さん。オダギリ組の撮影現場はいかがでしたか?

川島鈴遥(少女 役)
本作の撮影は、テストらしいテストはなくてほとんど一発本番だったんですけど、私にとってそれは初めての経験だったんですけど、でも違和感はなくて、テストで起きがちな慣れ感が無いために、いつも良い緊張感の中で撮影に挑めたなと思います。

ある船頭の話
川島鈴遥(かわしまりりか)

– 柄本さんと村上さんとの共演はいかがでしたか?

川島鈴遥
柄本さんは後ろ姿が印象的で、背中を見つめるシーンでは、寂しさだったり、悲しさだったりが感じられて、改めて柄本明さんはすごい方だなと思いました。

柄本明
ありがとうございます!

川島鈴遥
虹郎さんですが、私はけっこう人見知りなので、話しかけてくださるんですけど、なかなかうまく返事ができなくて、会話があまり盛り上がらなかった・・・

村上虹郎(源三 役)
俺の話がつまんないってこと?

川島鈴遥
いや、違います!(笑)
あ、でも、虹郎さんが現場にいらっしゃる時はいつもより明るい雰囲気な感じがしました。

村上虹郎
(僕と川島さんは)誕生日が一緒なんですよ。という話を現場で最初にしました。あと、豊臣秀吉とも一緒なんですよ(笑)

ある船頭の話
村上虹郎

村上虹郎は柄本明にタメ口?

– 村上さんのことを孫のようだとおっしゃる、柄本明さんとの共演(3回目)はいかがでしたか?

村上虹郎
今回は、これまででいちばんガッツリ共演させてもらいました。でも撮影現場が過酷すぎてあまり会話はしませんでした(笑)

柄本明
しゃべんないですよ。あんなに暑いんだもん。ほんとに暑いんだもん(笑)隠れるところが無いんだもの。

柄本明
この映画には、(村上虹郎の)親父さんの村上淳さんも出ているんだけど、昔、テレビドラマで、村上淳の親父役をやったことがあるんですよ。
だからまさしく(村上虹郎は)孫なんだよ(笑)
それが本作では、友人みたいな役同士だから、タメ口で話してくるんですよ。でも、ふだんからね、この野郎はタメ口なんですよ。

村上虹郎
タメ口じゃないですよ。ウソですからね!記者さん(笑)

豪華キャスティングはどうやって実現?

– 本作は、名前を聞いただけで胸が高まるキャストの方々が出演されていますけど、どんな風にお声がけしてキャスティングされたんですか?

オダギリ ジョー監督
いやぁ、ちゃんと事務所は通したと思います(笑)
僕自身、俳優をやっているから、もちろん、同業者の中でも好きな方、嫌いな方、いろいろいるんですけど、好きな人に声をかけましたね。

日本人が気づかない日本の風景の独特な切り取り方

– そして撮影は、クリストファー・ドイルさん。

オダギリ ジョー監督
クリスは日本の風景の切り取り方が独特で、僕らが気づかない日本の美しさをしっかりと収めてくれていると思いますし、絵(映像)だけみると、日本映画らしからぬというか、日本なんだけど日本じゃないように感じる理由の一つは、クリスの絵だからかなという気はしています。

– 以前、クリスさんの映画に出演された時に撮影方法にすごく刺激を受けたとおっしゃっていたと伺っています。

オダギリ ジョー監督
さっき、川島さんが言ってた、(撮影時に)テストをしないっていうのは、クリスがそういうタイプなんですよ。もう余計なことはしたくない、どんどん回したいっていう、そういうタイプなので。本人が待てない性格というか、どんどんやりたがる人なんです。
なので、本作の撮影もそのスタイルになっています。

– そしてワダエミさんデザインの衣装は国や時代を特定させない独特の雰囲気があります。

オダギリ ジョー監督
ワダさんは日本の宝のようなたいへんな(才能の)方ですが、この作品をとても大切にしてくれて、ご自宅にある貴重な生地をたくさんこの作品のために使っていただいちゃいました。
ギャラは少なかったと思うんですけど、お金にならない仕事をほんとにそれ以上の形で返していただいて、ほんとに感謝しています。

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第76回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門出品決定

– そして本作は、8月28日より開催される第76回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門(コンペティション)への出品が決定しました。

オダギリ ジョー監督
ほんとに身が引き締まりますね。自分が俳優として何度か参加させてもらった映画祭でもありますし、イタリアの監督協会が選んでくれている部門で、それがまず嬉しいですよね。
商業性やエンターテイメント性に目を向けたものではなく、作家性の部門なので。
日本だと、観る人はどうしても、俳優・オダギリジョーというフィルターを通して観てしまうと思いますが、それが無い形で評価していただけたのかなと思うと、すごく嬉しいですね。

柄本明
大変光栄なことだと思っております。オダギリ ジョー監督の本作を通して日本のことが、あちらの方にどういうふうに伝わるのか、大変楽しみです。

映画をご覧になる方にメッセージ

村上虹郎
僕が大尊敬する先輩の方々やスタッフさんが集まった作品です。そしてなによりも、柄本先生がこんなにも長い時間出演している作品は、ほんとに贅沢な時間だと思っています。
たっぷりどっぷり、オダギリさんが写した世界をお楽しみ下さい。

川島鈴遥
素晴らしいキャスト、そしてスタッフ、この作品に携わってくださった皆さんの思いが、スクリーン越しに皆さんに伝わっていただければなと思います。

柄本明
今の(時代の)映画からは割と逆行したような作品だと思います。でも普遍的な問題を描いた映画だと思います。そしてなんかおとぎ話的なところもあり。
こういう映画はなかなかヒットしにくいと思いますので、観てくださった方のお力で宣伝などしていただければ幸いです。

オダギリ ジョー監督
2つあります。
1つは、本作はなかなか挑戦的なことをやっていて、今の日本映画を見慣れている観客の方には見づらい映画なのかもしれません。ただ、それに挑戦したかったというのが僕の正直なところで、それを面白がってくれたキャストやスタッフの方ばかりでした。
今の流行りや日本映画の主流みたいなものが映画のすべてではなく、映画はいろんなタイプのものがあるべきだとも思います。
もう1つは、映像は劇場のスクリーンで見やすいように絵作り・編集をしていますし、サウンドも劇場のサラウンドで体感いただけると思いますが、音の配置・デザインも細かくやっているので、これを家でDVDやタブレットで観てもまったく伝わり方が違うんですよ。
なので、この映画は劇場で観ないと、その良さはまったく伝わりません。もしこの映画を気に入ってくれたら、是非劇場でとお伝え下さい。ありがとうございました。

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フォトギャラリー

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[写真・動画・記事:Jun Sakurakoji]

映画『ある船頭の話』

文明の波がひたひたと押し寄せ、新しいものが古いものに取って代わろうとしている山奥の村を舞台に、「本当に人間らしい生き方とは何か」を世に問う問題作が完成した。主人公の船頭トイチを演じるのは日本を代表する名優・柄本明。ヒロイン役には川島鈴遥を抜擢。そして村人・源三役には、若手実力派・村上虹郎が出演。この他にも本作が初長編監督となるオダギリジョーのもとに超豪華なキャスト、さらに国際派スタッフが集結。撮影監督にクリストファー・ドイル、衣装デザインには『乱』で米アカデミー賞®を受賞したワダエミ、そして世界を舞台に活躍するピアニスト、ティグラン・ハマシアンが映画音楽に初挑戦。そして8月28日より開催される第76回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門(コンペティション)への正式出品が決定。監督オダギリジョーが一流の才能を集め、比類なき作家性を発揮し、圧倒的な映像美と音楽で描く、極上の物語が誕生した。

【STORY】 橋の建設と川上から流れてきた少女が、静謐だった船頭の日々を変えていく──
近代産業化とともに橋の建設が進む山あいの村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチは、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、それでも黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に現れた一人の少女。何も語らず身寄りもない少女と一緒に暮らし始めたことで、トイチの人生は大きく狂い始める―。

脚本・監督:オダギリ ジョー
出演:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/笹野高史、草笛光子/細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功
撮影監督:クリストファー・ドイル 衣装デザイン:ワダエミ 音楽:ティグラン・ハマシアン
配給:キノフィルムズ/木下グループ © 2019「ある船頭の話」製作委員会
公式HP:http://aru-sendou.jp
公式TW:twitter.com/sendou_jp
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公式Insta:instagram.com/sendou.jp

予告編

9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開

ある船頭の話