仲万美
仲万美

かつてAyaBambiというダンスユニットの一人として、マドンナのツアー参加、BoA、加藤ミリヤ、椎名林檎らのMV・コンサート出演や、更にはリオ五輪閉会式での日本のプレゼン「SEE YOU IN TOKYO」にも参加した仲万美。彼女がAyaBambiとして活動することになったきっかけ、マドンナツアーの裏話、そしてAyaBambiユニット解消後、Ayaさんが復帰した時の思いについて、たっぷりと語っていただきました。(撮り下ろしフォトギャラリー)

仲万美さんは、現在、Rock Opera「R&J」に出演中。6月23日に東京公演が終わり、7月4日からは大阪公演が控えています。
彼女が世に知られるきっかけとなったのは、AyaBambi (アヤバンビ)という、振り付け師兼ダンサーのAya Sato(アヤ・サトウ)とそのダンスパートナーBambi(バンビ)として組んでいたダンスユニット。
2014年に行われたダンスワークショップでの映像がVineやFacebookなどのSNSを通じて世界中で話題となり、それ以降、国内外からオファーが相次ぐようになりました。
その後、AyaBambiというユニットは解消し、現在、ソロとして舞台「R&J」に出演中の仲万美さん。
彼女がそもそもダンスを始めたきっかけからさかのぼり、AyaBambi結成・解消、そして今後の彼女の目標について伺ったインタビューをお届けします。

仲万美 ロングインタビュー

仲万美

1.ダンスを始めたきっかけ

最初は踊ることはイヤだった

– ダンス歴20年ということですが、ダンスを始められたきっかけについて教えてください。

仲万美
母が熊本でミュージカルダンサーをやっていたんです。20歳くらいの時にダンサーの夢を叶えるために上京し、オーディションを受けていました。
その2年後くらいに、母が結婚して姉を授かったことでダンサーの夢を諦め子育てに専念することになりました。
さらにその2年後に私(万美)が生まれました。
そして、姉が7歳、私が5歳の時に母が「あんたらダンスやりなさい」ってことで始めたのがきっかけです。
その頃、母の熊本時代の知り合いのミュージカルダンサーがたまたま東京でダンススクールを開いていて、そこに通うことになりました。週3~4くらいで通って、ジャズダンスを習っていました。
でも元々、私はダンススクールに通うのはイヤでした。ダンスをやりたくなくて。5歳だったせいもあるかもですが、全然興味がわかなくて。逆にお姉ちゃんは「ダンスやりたーい」ってなってて、私は「ヤダ」って(笑)

2.Ayaさんとの出会い

仲万美
その後、中学生の頃に、やっとダンスが好きになりました。それは、お姉ちゃんに負けたくないという目標ができたからです。
そしたらその後まもなくお姉ちゃんがダンスを止めてしまい、せっかくの目標がなくなることに。
でも高校生まではなんとなくダンスを続けていましたね。
友だちとユニットを組んでダンス発表会に出ることはありましたが、バックダンサーになりたい、振付師になりたい、有名になりたいというような、明確な目標や夢があるわけではなく、仲間の皆んなと一緒にいることが心地よくて落ち着くので、ただただ自分の居場所のために踊っていました。

Ayaさんの踊りに衝撃を受けた

仲万美
そして、19歳の時にAyaさんの踊っている姿を見て衝撃を受けて、この時やっとダンス魂に火がつきました。
Ayaさんに近づきたいと思って、Ayaさんのレッスンに通うようになりました。そして、Ayaさんの作品にも出たりして、そこから、Ayaさんのアシスタントになれたんですね。
そしたらいつのまにか世界にバーッって広がっていったという感じです。

– それはAyaさんに見初められて引っ張り上げてもらった感じですか。

仲万美
そうですね。Ayaさんは元々ロスにいて、日本に一時帰国した時に私と出会い、AyaBambiを結成することになったものだから、Ayaさんはロスには帰れずじまいで、ロスに荷物を置いたまま日本に定住することになりました。
AyaBambiが広まって、メディアに出るようになってというのは、Ayaさんはもしかしたらそれを目指していたのかもしれませんが、当時の私はまったく予想してなくて、ただただ、Ayaさんのそばにいて、Ayaさんの振付を見て、吸収したいって思っていただけでした。

仲万美

3.マドンナ「Rebel Heart Tour」ツアー参加のきっかけと裏エピソード

– AyaBambiさんとしての最初のお仕事はなんだったんでしょうか?

仲万美
AyaBambiとしての最初のお仕事はたしか、DIESELというブランドのパーティだったと思います。会場に檻があって、その中で女性たちが踊っていて、私達もショーをやるという。
それがきっかけでいろんなアーティストさんのバックダンサーのお仕事もさせてもらうようになっていきました。
そういう中で、マドンナの実の娘さんがYouTubeでAyaBambiのワークショップの映像を見て、マドンナに「ママ、この人たち雇った方がいいよ」って薦めてくれたそうです。
そしたら、マドンナがコンタクト取りなさいとなって、AyaBambiのワークショップ映像を投稿してくれた方経由で、私たちにマドンナサイドから連絡が来たんです。
その時私たちはワークショップでロシアにいたんですが、ちょうど朝方にマドンナサイドから連絡がきて、「エーッ!!!!」ってなって(笑)
「もう意味がわかんない!」って感じで、特に驚いていたのはAyaさんでした。
当時の私は、ダンスミュージックを聴くのが苦手でマドンナのことをあまり知らなかったというもあります(笑) ダンスミュージックを聴くと「踊らなきゃ」って強迫観念に駆られて気が休まらないんですね。ただ純粋に音楽を楽しむ時は、ダンスミュージック以外のロックやジャズとかを聴くのが好きだったからです。
もちろん、「ブリトニー・スピアーズとコラボした人!」「ティンバーレイクと歌ってた人!」という認識はありました。
実際にマドンナとツアーを周らせてもらうようになって、どの会場も、何万人ものお客さんが集まっているのを見て、マドンナの凄さを実感しました。ほんと、失礼な話なんですけど。

お母さんのように優しいマドンナ

仲万美
それだけ偉大なマドンナですが、リハーサル中はすごくお母さんのように優しくて、超ビッグアーティストっていうのを感じさせない方なんです。
ダンサーというのは、身体づくりが資本で、踊ることはもちろん、見た目の体型も維持する必要があります。でも、お腹が空くと食べちゃうじゃないですか(笑)
そしたら、リハーサルの時にマドンナが「Bambi、もうハムとチーズ食べちゃダメだよ」って。
「なんで食べたのを知ってるの?」って思いましたが、どこかにスパイがいるのか(笑)、私たちが食べているものをチェックしているらしくて。

– マドンナって、ダンサーひとりひとりにまで気をかけてくれる方なんですね。

仲万美
そうですね。ちょっと太ったんじゃない?とか、肌が荒れてるよとか。随時言ってくれるんですよね。
ちょうどその時、私は肌が荒れている時期があって、マドンナが「Bambi、私の専属のフェイシャルスタッフがいるから」って紹介してもらって施術してもらったんです。
マドンナはそうやって、ひとりひとりに気をかけてくれる方でした。

– ツアーでのダンス演出について、マドンナからAyaBambiにはどういうリクエストがあったのでしょうか?

仲万美
メイク、髪型、振付含めて一切無いです。
たぶんマドンナはすごく特別な目でAyaBambiのことを見ててくれていて、私たちとしてはやりたい放題やらせていただきました。

– リハーサル期間含めて1年近くに及んだマドンナツアー。苦労した点はなんでしたか?

仲万美
英語がしゃべれなくてコミュニケーションができなかったことです。当然周囲は英語だけなので、私一人ポツーンみたいな。
周りの人はBambiは英語ができないからってことはわかってくれてて、易しい英語で話しかけてくれるんですけど、それすらわからないから、ワーっ!ってなって(笑)そのストレスで10円ハゲができたくらいです(笑)
なんとかわかるようにならなきゃって、耳から入る英語に集中するようにして、その後半年くらいかけて徐々に会話ができるようになってきました。

仲万美

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4.リオ五輪閉会式での日本のプレゼン「SEE YOU IN TOKYO」

MIKIKOさんとの信頼関係

– リオ五輪閉会式のことについて伺います。閉会式の振付けはMIKIKOさんとなっていますが、AyaBambiさんのパートについて、MIKIKOさんと相談されたことはありますか?

仲万美
まったくないです。構成として、私たちAyaBambiがGIMICOさんと一緒に踊るところと、皆で踊るところがあったんですが、AyaBambiのパートは、自由にやってと言われました。完全に任せていただいた形だったんです。

– そういう意味ではマドンナツアー参加の時と似ていますね。AyaBambiとしてある部分は完全に任せてもらっているという構成。

仲万美
似ていますね。

5.AyaBambiユニット解消。そして2年後にAyaさんが復帰した時の思い

いつかまたAyaさんの近くにいられる自分でいられるように。

– その後、万美さんはAyaさんとのユニットを解消されました。それからAyaさんの活動が聞こえてこない状況が続きましたが、2019年5月22日、椎名林檎さんの「鶏と蛇と豚」というMVで2年ぶりにAyaさんがダンサーとしての活動を再開しました。
その同じ日の朝、万美さんが「おかえりなさい この日をずっと待ってました」とツイートされています。この時の心境について教えてください。

仲万美
この日は大泣きしました。思い出しただけで、すごく嬉しくて、今も涙が出そうです。
AyaBambiは解散はしたけれども、私の中ではAyaさんがすべてにおいてNo.1なので。人間としても、ダンサーとしても、アーティストとしても。
そんなAyaさんがメディアからいなくなった2年間、彼女がどうしていたかは、連絡は途絶えていたので私は知らなかったんです。
そしたら林檎さんから「今度お仕事をご一緒することになってAyaさんが戻ってきます。お元気そうです。」と、長文のご連絡をいただいたんです。
林檎さんの「鶏と蛇と豚」のMVは、5月22日の朝6時に公開だったんですが、私、5時に起きちゃって。アラームも無しに。しかも「R&J」の稽古中なのに、朝5時に起きるというほど興奮していて。
で、6時になってMVを再生したら、嬉しくて嬉しくて大泣きでした。

– 万美さんがこれからもソロとして頑張っていくにあたって、Ayaさんの復帰は万美さんにとっても力になるということでしょうか?

仲万美
もう、力でしかないです。さらにあれだけかっこいい物を見せられたら、良い意味での嫉妬も感じます。
やっぱりAyaさんのアートは大好きですし、いずれまたカムバックみたいな形で一緒に踊れたらいいなって、Ayaさんの近くで踊れたらいいなっていう思いはあります。
そのためには、自分も頑張らなくちゃいけない。私がAyaさんに釣り合う人になっていないといけない、というのはわかってますから。

– なるほど。5月22日朝の万美さんのあのツイートの裏には、そういう強い気持ちがあったんですね。

仲万美
はい。ツイートは冷静な文にしてますが、ほんとうは、「ギャー!嬉しい!!!」ってもっと騒ぎたい気持ちでした。

6.初挑戦だらけの舞台「R&J」

仲万美
Rock Opera「R&J」舞台写真

– 先日東京公演が終わって、7月4日からはいよいよ大阪公演が始まる「R&J」について伺います。この舞台では、お芝居と歌も歌われていますが、これは万美さんにとっては初めてのことでしょうか。

仲万美
まったくの初めてです。スズカツさん(脚本・演出:鈴木勝秀氏)がイメージするロミオとジュリエットがあるらしくて、ロミオはもう佐藤流司で決まり!で、ジュリエットは強めの女の子というイメージだったそうです。その流れから、私に話をいただいたと聞いています。

– 初めてのお芝居と歌は苦労はありませんでしたか?

仲万美
もう苦労だらけですよ(笑)
演技ということでは、『チワワちゃん』(2019年1月公開)という映画に出演させていただいたんですけど、演技ってこんなに難しいんだってその時思ったんです。そもそもセリフを覚えるのが難しいですし、それをどうナチュラルに表現するのか、また「間」も難しいです。

– ダンスの振り付けを覚えるのとは違いますか?

仲万美
もう全然違います!演技は楽しいけど、すごい難しい!と思いました。
それからの「R&J」なんですが、映画と舞台とはまたお芝居がぜんぜん違ってくるんです。
まず、舞台では大きな発声が必要なんですが、私はこれまでそんな大きな声でしゃべるということがなかったですし、何より生ものなので、セリフが飛んだりしてもそのまま続けなくちゃいけない。そのプレッシャーにどう打ち勝つかという苦労がありましたね。
歌もこれまではカラオケくらいしか経験がなく、苦労しかなかったです。
でも、キャストの皆さんがすごく仲が良くて、私にもすごいアドバイスをくれるんです。また、舞台が初めてな私に「そんな緊張しなくていいよ。万美らしくやっちゃいなよ」って言って、楽しい雰囲気も作ってくれるんです。それはとても助かりました。
なので、最初の方は苦労しましたが、途中から楽しくもなってきました。

– なるほど。それで初日会見での「今日の本番舞台が楽しみでしかない」という発言に繋がってるんですね。

仲万美
はい。繋がりますね。

– 初日会見で「だんだん女の子になっていくジュリエットがかわいい」とおっしゃってましたが、劇中のジュリエットと万美さんご自身と似ているところ、違うところについて教えてください。

仲万美
「かわいい」って自分で言っておきながらアレなんですが、私とジュリエットはけっこう似ていると思っています(笑)
わがまま娘な雰囲気だったり、そして、恋をしてからのジュリエットの行動は、「私もこういうことやっちゃうな」って思います。
恋に一途で駄々をこねるところとか。台本を読んでいて、私ならこう言うなというのに一致することがけっこうあったんです。
なので、この舞台のジュリエットは、傍から見た万美でもあるなって感じています。
役作りはどうされましたか?っていう質問もけっこう受けましたが、「役作りないなぁ」って(笑)

7.「自分が見たことがない世界を見たい」

– ありがとうございます。最後の質問ですが、仲万美さんの今後の目標について教えてください。

仲万美
これと決めた目標にしていることは無いんですよ。人生どうなるかわからないし、自分がどう進むのかもわからない。
ダンスをずっとやっていた人間が、ひょんなことでマドンナや椎名林檎さんと一緒にお仕事できたりと派生していくわけじゃないですか。
それを経てまたダンスをやっていたら、急に女優をやることになって。人生何が起こるかわからないから、目標を立てるのは無駄だなと思って。
なので、私はダンスを20年やっていて、それでもまだ自分が見たことがない世界はたくさんあるので、その世界を見たいと思うようになりました。それがちょうど昨年くらいです。それから映画に出演して、今回舞台の世界を初めて見れたので。
ですので、「自分が見たことがない世界を見たいというのが目標です。」

まずは挑戦する!

仲万美
もちろん、いただくひとつひとつのお仕事について、結果的に合う・合わないというのはあると思います。でも、やってみないことにはどういう評価をいただくのかもわからないので、まずは挑戦していきたいと思います。
結果、ダメだったらやめればいいだけだし、それでも極めたいと思えれば極めればいい。
見たことが無い世界を見たい、というのはきっとゴールは無いんだと思います。
きっと、一生ゴールすることないと思うんですけど、できるだけ自分ができることは死ぬまで続けていきたいというのが目標です。

– Ayaさんも復帰されましたし、それもおおきな励みにしながら、仲万美さんとして、ますます、その「見たことがないものを見たい」という目標に突き進んでいかれるということですね。今後のご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。

仲万美
はい!ありがとうございました!

仲万美

撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:Jun Sakurakoji]

Rock Opera『R&J』

オレはこいつに一目惚れ。アタシもこいつに一目惚れ。

近未来、虚構とリアルが入り交じる世界・・・誰も観たことがない「ロミオ&ジュリエット」が、Rock Opera『R&J』として新しく誕生した。

物語
AIがほとんどの労働を担う時代。人々は退屈していた。
そして巨大都市の若者は、“グルッパ(不良)”と“ビアンカズーリ(警察)”に分かれて対立した。
抗争という名の、命を懸けた暇つぶし。
対立の中で出会う、グルッパを率いる「ロミオ」と警察長官の娘「ジュリエット」。
一目惚れして、恋に落ちて、行き着く先は、沙翁(さおう)=シェイクスピア 任せ。

東京公演:2019年6月14日(金)~23日(日)日本青年館ホール(終了)
大阪公演:2019年7月4日(木)~7日(日)森ノ宮ピロティホール

公式サイト:https://rockopera-rj.com/
公式Twitter:https://twitter.com/rockopera_rj (@rockopera_rj)

Rock Opera『R&J』

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