映画『スティルライフオブメモリーズ』
中村早・有馬美里・永夏子・安藤政信・松田リマ・矢崎仁司監督

気品の漂う映像美、死の匂いのする性・・・矢崎仁司監督の最高傑作

『三月のライオン』『無伴奏』の矢崎仁司監督がメガホンをとり、安藤政信、久々の映画主演作となる『スティルライフオブメモリーズ』の初日舞台挨拶が、新宿・K’s cinemaにて行われた。
本作は、フランスの画家・写真家アンリ・マッケローニの写真集より、一つとして同じものがない女性の肉体の豊かな表情と神々しさ、そしてマッケローニと、自らを撮らせ続けた彼の愛人が過ごした2年間に触発され企画された。安藤政信が伝説のマッケローニに挑む問題作。(動画&フォト)

舞台挨拶

<登壇者>
矢崎仁司監督、安藤政信、永夏子、松田リマ、有馬美里、中村早(劇中写真担当)

安藤政信(鈴木春馬 役)
20代の頃からずっと矢崎さんの作品が大好きで、矢崎さんの『ストロベリーショートケイクス』という作品に出演してからも仲良くさせてもらってて、今回こんな素敵な映画に出演できて嬉しく思っています。
この作品はここにいる二人の女優さんがいなかったら成り立たないくらい肉体からなにから全部をさらけ出してくれて、表現してくれていて、ものすごく感謝しています。

安藤政信
安藤政信

永 夏子(はるなつこ)(怜 役)
皆さんのこの表情を見て安心しております。
憧れの矢崎監督と素晴らしいキャストの方々とこのような作品に携われて、とっても宝物のような時間だったんですけど、実際に作品を観ていただいた皆さんが何を感じてくださるのか今日まですごく楽しみに心待ちにしておりました。ありがとうございます。

永夏子
永夏子

松田リマ(夏生 役)
すごく不思議な気分というか、多くの人に支えられながら一歩一歩作ることができた映画なので、公開できたことが嬉しく思います。
皆さんがこの作品を観てどう思ったかが、ひとりひとりに聞きたいくらいすごく気になります。今日はありがとうございます。

松田リマ
松田リマ

中村 早(なかむらさき)(劇中写真担当)
この作品の企画が立ち上がった時から関わらせていただいて、こうやってひとつの作品として実を結ぶことができて嬉しく思っています。
報道では、“スキャンダラス”という言葉が踊っていますが、観た方々がどう捉えるかわかりませんけども、俳優陣、監督、スタッフ、みんなでとても誠実に丁寧に一生懸命作った作品ですので、1回といわず何回でも写真集をめくるような気持ちで何度でもご覧いただければと思っております。

中村早
中村早

矢崎仁司 監督
この映画が今日を迎えるまでにいろんな人が頑張ったり泣いたり、ほんとに皆さんのおかげでできた映画です。
今日この映画を観たいと思って来てくれた人は僕にとっては特別な人々なので大事にしたいです。
皆さん、ほんとに抱きしめたいです。ほんとにありがとうございます。

– 謎めいた怜という役を演じるにおいて意識されたことは?

永 夏子(怜 役)
脚本を頂いた段階から、怜という女性はミステリアスで。
私の中ではミステリアスって、周りから見たらそうなんだけども、本人は自分のことをよくわかっていて。
なので、怜である私は、怜のことをよくわかって、怜の信念だったり情熱だったりを内に秘めている女性なんじゃないかということを考えました。
で、実際現場に入って、大自然の中で光だったり空気だったりを正直に受け止めて表現するということが、最初は難しかったんですけど、自分の中でできた!っていう瞬間に矢崎監督がOKと言ってくださることが多かった気がしました。

– 夏生や踊ったり子どもを生んだり、生命力が感じられるシーンが多かったですが、特に印象に残っていることは?

松田リマ(夏生 役)
私が踊っているシーンとか、湖に浮かぶシーンとかは台本には最初無くて、現場に入る直前に決まったりとか、現場でひとつひとつ生まれるものが多くて、決まりがいい意味で無かったです。
たとえば湖のシーンだったら、撮影は4月頃だったんですけど、山の奥の方の湖だったので、めちゃくちゃ寒くて、浮かびながら脳がパチパチ細胞が壊れていく音が聞こえたりとか(笑)
踊るシーンは、もともと新体操はやってたんですが、感情に乗せて踊るっていうのが初めてだったので、そこも印象的でした。

矢崎仁司 監督
映画の中で螺旋階段が象徴的に写っているんですけど、この映画が生まれてくる過程もまるで螺旋階段のようでした。
マッケローニというフランスの画家・写真家(作品『とある女性の性器写真集成百枚ただし、二千枚より厳選したる』)がいて、それの個展をやりたいと言った生越暁子(おごせあきこ)さんがいて、そして、『映像要理(副題:人は生涯にいくつの女性性器を見るか)』というエッセイ集を上梓した四方田犬彦(よもたいぬひこ)先生がいて、それを映画にしたいと言った伊藤プロデューサーがいて、安藤さんが写真をやられてたりとか、集まるべくして集まった人たちが集まって螺旋階段のように出来上がった映画だと思っています。
映画って考えてみたら100年ちょっとの歴史の表現手段なので、もっともっと可能性を開いていかないといけないなと思っていて、いつもそれに挑んでいるつもりです。
『スティルライフオブメモリーズ』という映画を広めて、映画の可能性を拡げたいと思っています。
協力してください。よろしくお願いします。

『スティルライフオブメモリーズ』

監督:矢崎仁司
プロデューサー:伊藤彰彦、新野安行
写真:中村早
キャスト:安藤政信、永夏子、松田リマ
配給:「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会
公式サイト:http://stilllife-movie.com/

SOTRY

東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の若手写真家、春馬の写真展が開催されている。山梨県立写真美術館のキュレーター、怜は、たまたま入ったギャラリーで春馬の写真に心奪われる。
ギャラリーを出るとき、すれ違った春馬の眼差しに心を惹かれた怜は、翌日、春馬に連絡をとり、撮影を依頼。「何も訊かないこと」「ネガをもらうこと」を条件に、自分の性器を撮ってくれと怜は春馬に切り出す。
突然の依頼に戸惑う春馬だったが、アトリエが夕陽につつまれたとき、春馬は怜の性器に向かってシャッターを切る。次の週も怜から撮影依頼が入る。
春馬は、いままで自分が撮っていた植物写真と女性性器写真の関連に気づき、怜がこのような写真を依頼する謎を解くため、しだいに撮影を待ち侘びるようになる。
二度目の撮影が終わったとき、これでもうこの女に会えない・・・と思った春馬はひそかに怜のあとを尾つける。怜は山梨県立写真美術館に入ってゆく。そこでは怜が企画した評論家・四方田犬彦(よもたいぬひこ)による「芸術史における女性性器の表現」についての講演が行われていた。
春馬は四方田のレクチャーを聞き、怜が春馬の写真と出会った瞬間、自分の体を使ってマッケローニと同じことをしようと思い立ったことを知る。一方、約束を破り、自分の素性を探った春馬にいったんは腹を立てた怜だったが、「やっと自分の被写体を見つけた」「作品を完成させたい」という春馬の真摯な思いに魅せられ、撮影を再開する。

春馬には夏生(なつき)という妊娠中の彼女がいる。夏生はやがて怜の存在を知ることになる。春馬と怜の創作作業に立ち入れない自分にしだいに歯がゆさをつのらせる夏生。彼女は春馬に「自分の性器を撮って」と願い出るが、春馬に断られ、やがて混乱の中で女の子を産み落とす。

春馬は女性性器という坩堝(るつぼ)に呑みこまれるようにシャッターを切り続ける。
すべての物語が終わったあと、春馬が撮った怜の女性性器が数十枚流れ、フィルムは断ち切られるように終わる。

舞台挨拶動画

フォトギャラリー

[写真:Ichigen Kaneda, 動画・記事:Jun Sakurakoji]