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フォークロア:TATAMI

北村一輝が主演男優賞を受賞した齊藤工監督「フォークロア:TATAMI」Q&Aレポート

フォークロア:TATAMI

齊藤工/北村一輝/ジョコ・アンワル

アジア・太平洋地域16か国の中から優れたコンテンツを選出するAsian Academy Creative Awards(以下AAA’s)の日本代表作品「フォークロア:TATAMI」(監督・齊藤工)から、10月15日、主演男優賞として北村一輝、主演女優賞として神野三鈴、そして撮影賞として早坂伸が受賞。そして東京国際映画祭会期中の10月30日、TOHOシネマズ六本木にて、本作のQ&Aが行われ、齊藤工、北村一輝、ジョコ・アンワルが登壇した。

『フォークロア』シリーズ「TATAMI」「母の愛」他

インドネシア、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ。アジアの6つの国の監督が、それぞれの国の文化や社会の中で培われてきた「伝承(=フォークロア)」をテーマにしたホラーを制作。『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBO®がアジアで展開するHBO®アジアのオリジナルアンソロジーシリーズとして世界各国で放送され話題となっている。
日本からは、俳優、映画監督として活躍する齊藤工が、この企画に監督として参加。北村一輝を主演に迎え、日本ならではの恐怖を描いている。

「TATAMI」
監督:齊藤工
出演:北村一輝 神野三鈴 ほか
BSスターチャンネルにて11月10日(日)午後2:45に字幕版一挙放送。11/16(土)より毎週土曜よる10:00ほか

フォークロア:TATAMI

フォークロア:TATAMI

フォークロア:TATAMI

©2018 HBO Pacific partners, v.o.f. HBO and HBO Asia Originals are service marks of Home Box Office,Inc. FOLKLORE is a service mark of HBO Pacific Partners, v.o.f. Used with permission. ©2019 HBO Asia. All rights reserved.

Q&Aレポート

フォークロア:TATAMI

齊藤工(『フォークロア:TATAMI』監督)
僕がこの業界に入ったのが約20年前。隣にいらっしゃる北村一輝さんの現場見学が僕の第一歩でした。そんな北村さんが主演として一緒に映画を作っていただき、この場に来れたことを心から誇らしく思います。

齊藤工

齊藤工監督

北村一輝(『フォークロア:TATAMI』主演)
今、齊藤監督がおっしゃった、その20年前、彼はまだ俳優になる前から「いつか映画を撮りたい」って言ってて、「是非俺も呼んでほしい」って答えたんですが、その時の夢がまさか叶うという特別な思いもあります。

北村一輝

北村一輝

ジョコ・アンワル(『フォークロア:母の愛』監督)
私が初めて映画祭に出品したのがこの東京国際映画祭です。また戻ってこれて嬉しく思います。
今回は、フォークロアシリーズの「母の愛」という作品を作りました。私の作品と共に、敬愛する齊藤工監督の「TATAMI」も一緒に上映されたこともとても嬉しく思います。実は先ほども「一緒に映画を作れたらいいね」っていう話をしていたところです。

ジョコ・アンワル

ジョコ・アンワル監督

– 北村さんは映画でインドネシアとはご縁があるんですよね?

北村一輝
はい。モー・ブラザースの『KILLERS キラーズ』(2014)というのと、あとは、『ザ・レイド GOKUDO』(2014)です。ま、怖い役ですけど(笑)

北村一輝

– 齊藤さんは役者・監督、両方の立場で映画に関わられていますが、ジョコ監督もインドネシアのホラー王として活躍されている他、役者としても出演されています。

齊藤工
そうですね。フォークロアで言うと、エリック・クー監督(シンガポール)の作品にとんでもない役で出演していたり、アジアのクリエイターとして、『悪魔の奴隷』だったり、大好きな彼の作品はいっぱいあるので、いつも刺激をもらっています。

齊藤工

– ジョコさんは役者と監督、どちらを先に始めたんですか?

ジョコ・アンワル
実は私は脚本から始まっているんです。私は映画学校に通ったわけでもないので、映画を撮ることに関してはまったくの素人で、大変苦労しました。
最初の作品に至っては、撮り方を知っている真似をして、そこからスタートし、現場でいろいろ学んでいきました。

フォークロア:TATAMI

観客Q&A

– 今回の作品の着想のきっかけを教えて下さい。

齊藤工
エリック・クー監督の『家族のレシピ』という作品に出演した時、監督から、このプロジェクトに誘っていただき、2つ返事で受けさせてもらいました。
このプロジェクト自体がアジアでひとつのテーマを競う、スポーツで例えるとアジア予選のようなところに興味を持ったからです。
そして、メイド・イン・ジャパンの“フォークロア=伝承”ということでできたのが「TATAMI」でした。
“畳”っていうのは、英語がなく、“TATAMI”という表現しかない。まず、この言葉が強いなと思ったのと、畳を調べていくと畳の秘密というか、劇中でも登場した藁(わら)人形、あれ、美術さんに200体作ってもらったんですけど。
畳も表面はイ草ですが、中は藁(わら)なんですよね。人形の藁人形に宿るもの、それを釘で打つという、そういうものに対して、畳一畳分に宿る“念”みたいなものを題材にしたいなと思いつきました。“言葉”から入りました。

齊藤工

ジョコ・アンワル
インドネシアにも怖い女性のお化けの話があります。大変大きな胸をしているのが特徴で、親に恵まれない子どもたちを誘拐して、自分の胸の裏に隠してしまいます。僕が子どもの頃、外に遊びに行って夜遅くまで家に帰らないことがあると、母が「お化けに拐われちゃうわよ!」って怒られて、すごく怖い思いをしたのが印象に残っています。
そのお化けの話のこの映画の中に出てくる母親は、僕の母親がモデルとなっています。僕の母親はとても怖くて厳しかったんですけど、とても僕を愛してくれました。なので、映画に登場する男の子は僕がモデルです。

– 「TATAMI」での北村さんの役は、死に取り憑かれたような事件ライターですが、役作りはどのように?

北村一輝
僕の考え方ですけれど、そもそも俳優のお芝居というのは、うまくセリフを言わなければならないとかは、舞台上ではそういうことも求められたりするんでしょうが、映画に関しては、脚本の魅力や世界観、監督が何を作りたいかっていうことを表現することであって、作品の魅力を伝える使者であると思っています。
なので、今回は耳が聞こえないという役でもありますし、アングルから見てもわかるんですが、主人公目線です。主人公を通して皆さんに物語を観ていただき、怖さ含めて、どういう思いになるのかを伝えるポジションであるべきだと台本を読んだ時に思ったんです。
すなわち、どこか客観視した役作り、そういう中でどのようにカメラの中に収まっていればいいか、リアクションは最小限にするようには心がけました。ただそれはちゃんと話し合いをした上で、そういう風に作っていこうと。

北村一輝

– 北村さんはいろんなクリエイターの方とお仕事されてますが、齊藤監督はどんなタイプですか?

北村一輝
現場では怖かったですね(嘘です)(笑)
何が一番嬉しかったかっていうのは、準備というものに時間をかける。それは、僕たち俳優は準備という時間をちゃんと取るという、俳優という仕事を理解してくれていることです。脚本に関してどのように読み込んでいくかとか、どのように見せていきたいかという部分にちゃんと時間を取っていただいたので。
現場はもう、彼の性格のとおり、穏やかに、爽やかな風のように流れていて、撮っている作品の内容とはぜんぜん違う感じで(笑)
みんなすごいフレンドリーな現場でしたし、、一つずつちゃんとディスカッションしてくれながら、とてもスムーズに進んでいきました。あまりにスムーズすぎて、あれ?もうちょっとなんか無いのかな?たまには怒ってほしいのにとかも思うほどに(笑)

北村一輝

最後にメッセージ

– 齊藤さん、最後にメッセージにメッセージをお願いします。

齊藤工
Q&Aなのに、1ラリーだけ?
先日韓国で公開された映画では、上映時間70分に対して、約2時間のQ&Aが各映画館であったり、上映後に観た方とそのようなコミュニケーションを取ることは、映画がより発酵していくというか、深まっていくことになります。
もちろんプログラムを組むのは大変だと思うんですけど、日本の映画ももっとQ&Aの時間を長くする取り組みをしたらいいんじゃないかなと思います。
さて、「TATAMI」は全編御殿場で撮影しました。その御殿場が先日の台風19号で甚大な被害を受けました。御殿場がなければこの作品は生まれていないので、1日も早い復興を願っています。

齊藤工

齊藤工
この作品で、ジョコさんもそうなんですけど、「アジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワード(*)」というアジアの優秀な映画作品に贈られる賞で、「フォークロア:TATAMI」 は、北村さんが主演男優賞、神野三鈴さんが主演女優賞、早坂伸さんが撮影賞を受けられました。
(会場拍手)
ジョコさんもオリジナル脚本賞を受賞されました。このプロジェクトはアジアが世界と戦うプロジェクトだと思いますし、是非応援していただきたいです。
あと、「TATAMI」の作品で言うと、黒田大輔さんのお芝居も、現場で僕は何度も鳥肌が立って、僕は現場で役者さんに頼りっぱなしで、監督らしい仕事をほんとにしてなくて、役者さんに引っ張ってもらった、スタッフに引っ張ってもらった作品だったんで、このアワードの受賞っていうのは、日本のメディアはほとんど取り上げてないんですけど、僕はとっても誇らしく嬉しく思っておりますので、マスコミの方、是非そこを強調して書いてください(笑)
ほんとに今日は皆さん、ありがとうございました。

*エリック・クー、齊藤工ら東アジアの6監督によるホラーアンソロジー『フォークロア』Asian Academy Creative Awards 日本代表に3部門、インドネシア代表に1部門、計4部門に選出!(PR Times)

齊藤工

齊藤工

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フォトセッション時は、黒田大輔も参加

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[記事・写真:Jun Sakurakoji]

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