第32回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門に正式出品された映画『花と雨』。
日本のHip Hop界で歴史的名盤と言われるSEEDAのアルバム「花と雨」を原案とし、新進俳優、笠松将が主演を務める。11月1日、TOHOシネマズ六本木にて行われた舞台挨拶には、笠松将、大西礼芳、土屋貴史監督が登壇。
ラップへの挑戦の苦労や役作り。深夜ドライブで交わしたSEEDAとの会話・エピソードが明かされた。

花と雨
(左から)大西礼芳、笠松将、土屋貴史監督

■映画『花と雨』

幼少期、ロンドンで育った主人公の吉田(演・笠松将)は、閉塞的で村社会的な日本の空気に馴染めないまま、高校生活を送っていた。同級生や現実を冷めた態度で見つめ満たされない日々。そして次第に学校から距離を置くようになった時、”Hip Hop”と出会った。Hip Hopを通じて日本で初めて自分が表現できる場所・仲間とも出合い、身も心も”Hip Hop”にのめり込んでいく。吉田は、いつか海外での活躍を目指す姉・麻里(演・大西礼芳)との約束を胸にラッパーとしての練習や活動をしながらストリートでは、ドラッグディールで実績と自信をつけていく。しかし、物事はそう簡単にうまくはいかない。ラップバトルで再会する同級生には負け、掴みかけたチャンスは仲間に裏切られ次々と失う。初めて自分の居場所だと思えたからこそ、その現実の厳しさに晒され、自分を見失って行く。
Hip Hopへの情熱も薄れ、いつしか単なるドラッグディーラーに成り下がっていく吉田。
夢に邁進する姉の麻里とも距離を置くようになり、いつまでもうまくいかない現実から逃げ、ついに逮捕されるてしまう。その先に待っていたのは、最愛の姉との別れ。これが、自分のやりたかったことなのか?
吉田はラッパーとして、1人の人間として、現実を乗り越えられるのか…。

舞台挨拶

■緊張する土屋監督と笠松さんのツッコミ

初めての長編映画作品の上映となる土屋監督は舞台挨拶に登壇した心境を「ともかく緊張しています。舞台挨拶以上にみなさんの前のお披露目ということで、口の中パサパサです。」と述べた。すると笠松は、通訳による監督の口の渇きの表現“Dry now!”という言葉を復唱し、会場を笑わせた。

花と雨
土屋貴史 監督

■ラップ初挑戦のエピソード

笠松将
元々、SEEDAさんの曲も聴いていたし、ラップもヒップホップの好きなアーティストもたくさんいたので歌える曲もありました。だから、そんなに難しくないだろうと思っていたんです。
歌詞も覚えて、曲も聴き込んで、ラップで最高峰のMC・仙人掌(センニンショウ)さんにマンツーマンで指導に入っていただきました。
ご自宅にうかがって、初めてヘッドホンをつけて、マイクで音を録ったのですが、テンポも取れないし音程も外れていました。多分、そのデータを仙人掌さんは持っていると思います。
本当にひどい状態でした。それからまだ時間があったので焦って一生懸命練習したのですが、満足いくところまではいけませんでした。
やはり、ラップはすごく深い音楽であり、文化なんだなと思いました。

花と雨
笠松将

■練習する姿を見ていて出来た役作り

大西礼芳
笠松君がひたむきに音楽と向き合いながら、悶々としたストレスフルな日常を送っていたので、唯一、本音を話せる・一息つける存在になれたらいいなと思いながら、日々、現場で笠松君と接していました。
花と雨
私達がイギリス育ちの設定なんです。私は英語を話せないですし、がんばって練習しました。それと同時に彼らがノートを真っ黒にしながら、歌詞をいっぱい書いて、ラップの練習をしている姿をみていたら、それで役作りになっていたんだと思います。

花と雨
大西礼芳

■SEEDAさんとの深夜のドライブで受け取ったものと固めた決意

笠松将
どんな人でもそうだと思うんですけど、一言では片付けられない人です。
一番良いと思ったエピソードは、クランクインの前日に、SEEDAさんから直接二人で会いたいと連絡をくれたことです。二人で会って何を言われるかとおもいました。
ラップが下手だから、あのシーンはカットだとか、ここはダメだから、これは無しだとか、映画の撮影を止めるぞと言われることがあり得た中で、二人で深夜にドライブをしました。
いろんな話をしながら、このシーンではあそこでこんなことがあったとか、当時、こんなときがあったときも、こんな時間帯だったとか。高速道路を走りながら、あの歌詞を書いた時もこうだったとか、いろんな場所に連れていってくれました。
その時SEEDAさんに「笠松君に全部託したい」と言われました。まだ生きている方の映画を作るというのは、すごく難しかったです。でもそう言っていただいたことで、一生懸命やろうと思いました。

■キャスト

出演:笠松将
大西礼芳 岡本智礼 中村織央 光根恭平 花沢将人 MAX サンディー海 木村圭作 紗羅マリー 西原誠吾 飯田基祐 つみきみほ 松尾貴史 高岡蒼佑

■スタッフ

監督:土屋貴史 原案:SEEDA・吉田理美 脚本:堀江貴大・土屋貴史 音楽プロデューサー:SEEDA・CALUMECS

製作:藤田晋・中祖眞一郎 制作プロダクション: P.I.C.S. 配給:ファントム・フィルム
(C)2019「花と雨」製作委員会
公式サイト https://www.Phantom-film.com/hanatoame/

2020年1月17日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷 他、全国公開