10月9日、東京會舘にて、第5回JFCアウォードが開催され、富山県でロケが行われた木村大作監督『散り椿』が最優秀賞受賞。優秀賞に『翔んで埼玉』(埼玉)、『孤狼の血』(広島)、『こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話』(札幌)など4団体が選ばれた。JFCは、日本で唯一の映像支援団体のネットワーク組織。映画・映像作品の製作支援、映像産業の振興、映像文化の普及活動を行っている。

本アウォードは、全国各地で優れたロケーション資源の開発や市民と一体となった撮影支援、映像作品の活用による地域活性化に向けて日々奔走する各地域のフィルムコミッションを表彰するもので、第5回は14団体がノミネートされた。

第5回JFCアウォード
佐藤有史氏・李嘉兒氏(ともに札幌FC)、西崎智子氏(広島FC)、前佛聡氏(富山県ロケーションオフィス)、木村大作監督(映画『散り椿』)、島松宗一郎氏(佐賀県FC)、遠藤肇氏(東京ロケーションボックス)、渡辺欣夫氏(千葉県FC)、臼井智子氏(いばらきFC)

木村大作吠えた!『日本よ!映画を文化として、撮影に協力してもらいたいと強く思うね!』

最優秀賞

富山県ロケーションオフィス(映画『散り椿』)

今年の最優秀賞に選ばれたのは、富山県ロケーションオフィスの岡田准一主演『散り椿』。富山県ロケーションオフィスのこの受賞のお祝いに、『散り椿』臼井真之介プロデューサー、そして木村大作監督が駆け付けた。

木村監督は第一声「文化庁、日本政府、東京都知事の小池百合子!東京はうるさくてしかたない!」と一喝。「アメリカだとニューヨークだろうが警察が交通整理して撮影に協力する。日本と違って映画は文化なんだ」と吠えた。
数々の名作を作り上げてきた、日本映画史の生き字引たる木村監督は、「日本全国でロケをしています。30代は八甲田山、青森や東北が多かった。40代では太秦や神戸。今、映画の撮影はどんどんやりにくくなってきている。どこで撮影するにも国や組織の了解がいる。映画を文化として、協力してもらいたいと強く思うね!」と強く含蓄のある発言で日々映画撮影のロケーション交渉をこなす各組織の労をねぎらい、発破をかけた。
「富山とは20年の付き合い、おれ富山で4本も撮影やってるんだ。富山のFCの会長もやってるんだ。富山では何をやってもOKなんだよ!」
と場内の笑いを誘うと、富山県ロケーションオフィスの前佛氏は「監督からいろんな指示がきます。電柱も動かしました。道路も封鎖し、塩をまき
ました。川の流れも変えました…」と驚愕の努力を告白。「国の重要文化財のセットを作り、映画のタイトルにもなっている『散り椿』も移植しました。おかげで監督が目指しておられる映画が出来上がったと思います。そしてこの賞を受賞し、光栄で胸がいっぱいです」と語ると、場内のみならず木村大作監督も大きな拍手を送っていた。

【受賞理由】
監督を含めた業界人を唸らせるロケ地の発掘に加え、国の重要文化財におけるオープンセット設置の協力をはじめ、河川敷の工事を行って時代劇用の道路づくり、さらに電柱移転やタイトルにもなった「散り椿」の移植など、大規模な撮影を住民を巻き込んだマンパワーのみで実現させており、県を挙げて撮影の協力体制ができていることがうかがえる。また公開に合わせて、撮影された隣県と協力してロケ地マップやPR、旅行商品の開発など、様々なプロモーション活動も行っており、さらに公開後は、「富山県つばき会」の発足など住民が中心となったまちづくり、コミュニティーづくりが成功しており、FCの活動を通したまちづくりの発展に寄与しているとして、グランプリの受賞となった。

優秀賞①

関東圏ロケ受入組織連絡協議会(映画『翔んで埼玉』)

映画『翔んで埼玉』の関東圏ロケ受入組織連絡協議会は難しかった1都6県の広域での協力体制を実現させ受賞に至った。

【受賞理由】
トークショーや美術展等、公式顔負けの公開直前イベントを、ロケが行われた関東の1都6県が協力して行っており、これまで連携が難しかった地域での合同イベントの成功は、評価に値する。また、同作品では、これまで難しいとされていた東京の中心地での大規模道路封鎖による撮影の成功も映像業界には大きなニュースとなっており、FCの地道な努力により、関東地域での連携強化と撮影環境の整備が進んでいると言え、高い評価に繋がった。

優秀賞②

札幌フィルムコミッション(映画『こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話』)

札幌フィルムコミッションは、撮影のロケ地選定のみならず地元企業商品を出演者にSNSで発信してもらうなどのアイディアを紹介。

【受賞理由】
シナリオハンティング・ロケハンに50日以上同行しロケ地の選定に協力し、撮影においても細かな支援がされている。撮影中は、地元企業に協力を仰ぎ、タイミングや提供方法などを工夫して役者にSNSの発信を促し、特産品のPRや経済効果に繋げたことも高く評価できる。また、役者とスタッフを巻き込んでロゴの発信をするなどシティプロモーションにも成功しており、制作後は10項目以上の連携プロモーションを行うなど、秀でた企画力で誘致・支援・活用の全てにおいて非常に上手くいっていることが、受賞に繋がった。

優秀賞③

広島フィルム・コミッション(映画『孤狼の血』)

映画『孤狼の血』の撮影に尽力した広島フィルムコミッション。長くFCとして地元一般市民のみならず警察、役所などとの関係を築いてきた広島FCの西崎智子氏は「飲み屋街でロケをしたとき苦情が殺到しました。反社会勢力の方につめよられたこともあった。長く道路を封鎖することがあり、警察に協力してもらったら苦情はゼロでした。キャッチコピーになっている『警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ』というのを身をもって体験しました」とユーモアを交えFCならではの撮影エピソードを披露した。

【受賞理由】
広島での昭和時代のロケ地探しは、非常に難しいうえ、内容的に過激なシーンが多かった作品だが、ロケ地選定の時期から、飲料組合の理事長らに協力を仰いでロケにも立会を調整されたところでの工夫は、日頃からFCが地域住民と連携していることが伺える。また、作品の活用に関しても監督案内のロケ地巡りの実施や、凱旋レッドカーペットイベントで県内外から7000人を集めるなど企画等も含めたPR成功させていること等が受賞に繋がった。

優秀賞④

佐賀県フィルムコミッション(タイ・フィリピンにおける佐賀県の認知度向上と交流拡大施策)

タイ・フィリピンにおける佐賀県の認知向上と交流拡大施策が評価された佐賀県フィルムコミッション。タイ・フィリピン作品の誘致に成功し、観光客誘致にとどまらず文化流通面でアジアへのいち早いアプローチに成功している。

【受賞理由】
タイにおける佐賀県の知名度は非常に高く、そのきっかけは、佐賀県フィルムコミッションが戦略的にリサーチ、企画提案、撮影支援、そして作品のプロモーションまでをパッケージで行った結果であり、その独自の戦略は成功事例として非常に秀でている。さらにフィリピンにおいても、同様の方法で4作品を続けて誘致に成功し、佐賀県の知名度向上に尽力している。FCの活動により、観光客増加だけにとどまらず、文化・流通面でも外交戦略に成功しており、どこよりも早くアジアの広い範囲へアプローチを続けている取り組みは、表彰に値する。