9月28日に公開される二ノ宮隆太郎監督、主演・萩原みのりの映画『お嬢ちゃん』。それまで「いろんな薄っぺらさに嫌気がさして、周りのことも自分のことも大嫌いで、役者を辞めることばかり考えていました。」と語る萩原みのりが再び“役者で生きていく決意の作品”になったという。彼女の人生の歩む方向に大きな影響を与えた『お嬢ちゃん』とはどんな作品で、また、この作品に対して萩原みのりは何を思うのか?本人に話を聞いた。

『カメラを止めるな!』を輩出したENBUゼミナール「シネマプロジェクト」

『お嬢ちゃん』は、ENBUゼミナールの「シネマプロジェクト」第8弾作品。このプロジェクトは、注目の若手監督を起用、俳優ワークショップを経て劇場公開映画製作を目指す。その第7弾として公開された『カメラを止めるな!』が2018年、一世を風靡したのは記憶に新しいが、『お嬢ちゃん』は、シネマプロジェクト第8弾作品となる(現在、第9弾が始動中)。

映画『お嬢ちゃん』

あらすじ
みのり、21歳。海辺の町、鎌倉でお婆ちゃんと二人で暮らしている。観光客が立ち寄る小さな甘味処でアルバイトをしている彼女は、日々の生活の中で出会う男たちに絶対に屈しない。大男にも平気で喧嘩を売り、持論を投げつける。
誰にも媚びない、甘えない、みのり。そんな彼女だが、ある日親友の理恵子と未来を想像した時、現実と向き合っていなかった自分に気付いてしまう。

出演:萩原みのり 他
監督・脚本:二ノ宮隆太郎
©ENBU ゼミナール
新宿 K’s cinemaにて9月28日(土)より公開!以降全国順次

「役者で生きていく決意の作品」

萩原みのり(はぎわら みのり)は、1997年3月6日生まれの愛知県出身。「放課後グルーヴ」(’13)でドラマデビュー後、映画『ルームメイト』(’13)で映画デビュー。その後、ドラマ「表参道高校合唱部!」をはじめ、映画・ドラマなど多数の作品に出演し活躍している。今回公開となる『お嬢ちゃん』に続いて、映画『転がるビー玉』『37Seconds』などの待機作も控える。

そんな彼女だが、『お嬢ちゃん』に出会った頃の自身について次のように語る。
「二ノ宮監督からこの作品で主演をやってほしいと声をかけていただいたときの私は、いろんな薄っぺらさに嫌気がさして、周りのことも自分のことも大嫌いで、役者を辞めることばかり考えていました。この作品は私の、役者を続ける、役者で生きていく、という決意の作品でもあります。」

自分が思っているものとは違う形で表に出てしまう

お嬢ちゃん
萩原みのり

– 萩原みのりさんが演じられている“みのり”とはどういう女性でしょうか?

萩原みのり
葛藤している女性というのがいちばんしっくりくると思います。周りに対しても自分に対してもすべてにおいて葛藤しています。
特に自分に対してというのが一番強いと思います。

– 劇中、みのりは不機嫌そうな表情をしていますが、何に怒っているのでしょうか?

萩原みのり
みのりは怒っているというよりは、ずっと悩んでいます。でも自分が思っているのとは違う形で表に出てしまうから、周りから、外見だけでいろいろ言われたりしますが、みのり自身はすごく悩んでいるっていう印象です。

– みのりに接する登場人物の多くは、みのりの外見の可愛さだけにとらわれていることも関係しますか?

萩原みのり
はい。そういう意味で、劇中、みのりが唯一自分から話しかけている人物は、パチプロの男性です。この人はお店(みのりがアルバイトしている不動茶屋)が自宅近くにあるから来ているただのお客さんで、あの人だけが唯一みのりが可愛いとかそういうこと関係なしに来店しています。そういうところに(みのりの気持ちが)出ているかなと思います。

萩原みのりと“みのり”

– “みのり”という人物について、二ノ宮監督とは何か話をされましたか?

萩原みのり
いえ、まったくしてないですね。

– 萩原みのりさんと劇中のみのりさんとの共通点は?

萩原みのり
どう思っていただいてもいいんですけど(笑)、フィクションとノンフィクションが混じっているので。台本の言葉に「みのりは新体操をやっていた」とありますが、私も実際に新体操をやっていたとか。
これがほんとで、これがうそでって言うと、映画を観る人の邪魔になってしまうと思うので、どこまでほんとかはわかんなくていいかなとは思っています。

– 新体操が台本に出てくる部分は監督と相談して?

萩原みのり
ぜんぜん。Wikipediaとかで私のことを調べて脚本に書いてくださったそうです。

“みのり”の本音

– ネタバレに配慮しつつ質問させていただくと、作品の最初と最後でみのりの中では何かが変わったように感じました。

萩原みのり
変わったっていうよりは、観ているお客さん側がみのりの本音を聞いたことによって、みのりに寄り添って考えるようになるんじゃないかなって思っています。
私としては最初から不機嫌なつもりは無かったし、みのりはその弱さが表に出てしまっている子でしかなく、強い子だとも思っていません。だから、「あ、みのりってほんとはこう思ってたんだ」って、お客さんが知ったから、そう見えるんじゃないかなって。

二ノ宮監督との出会い

– 二ノ宮監督にオファーされた経緯について教えて下さい。

萩原みのり
二ノ宮監督と初めてお会いしたのは、監督自身が出演されている「I’s(アイズ)」っていうドラマの打ち上げです。私も出演してるドラマですが共演シーンがなかったので、打ち上げの時は初めましてでした。
その時に監督の前作『枝葉のこと』(2017)の試写招待状をいただいて後日伺ったら、その場で次の作品の主演をやってくださいと言われました。

「萩原みのりのための映画」

– 二ノ宮監督の言葉に「萩原みのりさんの魅力を表現したい。萩原みのりさんのための映画です。」とありますが、それについて監督からなにかお話がありましたか?

萩原みのり
監督からそんなふうに言ってもらえて嬉しいですけど、お話はまったくありません。なので、なんで私だったのか、ずっとわからないままなんです(笑)
私からも聞いてませんし、だから知らないままです(笑)

『枝葉のこと』の女版

– 二ノ宮監督『枝葉のこと』について、萩原みのりさんは「この人どこに向かってるんだろう、どうしてずっと、歩いてるんだろう。」と、主人公・隆太郎の歩き方についてコメントされていますが、今回の『お嬢ちゃん』で、みのりさんは隆太郎と同じ歩き方をしているように見えました。

萩原みのり
監督に脚本が出来上がる前に「どんな感じの映画ですか?」って聞いたら、“『枝葉のこと』の女版”って言われたので、たぶんどこかで勝手に意識はしていたんだと思うんですよね。

– 確かに『枝葉のこと』と『お嬢ちゃん』はいくつかの共通点があるように感じます(撮影エリア限定、主人公が無表情など)。

萩原みのり
“『枝葉のこと』の女版”の言葉で、私はもうよけいな芝居はしなくていいなと思いました。
見え方も何も考えずにやろうと。ただみのりとしてその場にいれば、きちんと画面に映るだろうと。

– カメラワークも同一シーンはカット割もなく、ただただリアルに日常を切り取った映像が、二ノ宮監督風なのかなと思いました。セリフは台本はありましたか?

萩原みのり
はい。Abu’s Cafeでの一部シーンのアドリブの他は一字一句台本どおりです。

「私はこれからも映画のスクリーンに映っていたい」

– プレスシートのみのりさんのコメントに「この作品は、私が役者で生きていくという決意の作品」とありますが、その決意のきっかけは?

萩原みのり
役者で生きていく、辞めるというのをちょうど悩んでいる時期にいただいたお仕事で、その役名が「みのり」だったり、自分のバックグラウンドが脚本に混ぜ込まれているということ。
なにより、この現場が楽しかったんです。お芝居をしていることが。完成を観たときにも、私はこれからも映画のスクリーンに映ってたいなっていうのを改めて思えました。そして、関係者の試写会でも、この作品を好きになってくださる方が多くて。

– 撮影現場が楽しかったというのは、自然にやれたということでしょうか?

萩原みのり
スタッフさんたちのチーム感がすごかったんです。スタッフさんたちと一緒に同じゲストハウスみたいなところに泊まって、合宿みたいな感じで。
他の現場って役者は別のホテルとかになったりするんですけど、『お嬢ちゃん』の現場はずっと一緒にいて、一緒に作品を作るという、土台の部分から一緒にやれている感じがワクワクしましたね。

– 撮影はちょうど一年前くらいですか?

萩原みのり
はい。お盆の鎌倉で撮りました。

– 役者でやっていこうと再び思われたみのりさん。改めて役者としての目標はありますか?

萩原みのり
わたし、こうなりたいっていうのがぜんぜんないんですよ。
出会う監督だったり役者の先輩からいただく言葉に影響を受けて、その度にどんどん変わってくるので、今時点でゴールみたいなものは定めてないかもしれないですね。
自分でも自分がどんな役者になっていけるのかまったく想像ついてないし、それが楽しいからたぶん役者という仕事が好きなんですけど。
あと私は人が好きで、人と何かを作っていくのが好きなんです。なので『お嬢ちゃん』の現場は楽しかったんだと思います。
『お嬢ちゃん』の撮影が終わってからも、スタッフさんと別の現場でお会いしたりして、それがすごい嬉しいんですよね。またこの人たちと何かを作れる!というか。今後もいろんな方達と作品を作っていけたらいいなと思います。

萩原みのり

作品の余白まで楽しんでほしい

– 最後に映画のPRをお願いします。

萩原みのり
「130分全部に意味がある。」っていうのが一番大きいと思います。
ちょっと長いですけど、私としては全部観るからこそわかるというか伝わるものがあるんじゃないかなと思ってて。だから全部観てください(笑)
130分、スクリーンを見つめてもらえれば、ちゃんと届くものがあると思っています。作品の余白までも楽しんでもらえたら嬉しいです。

お嬢ちゃん

映画『お嬢ちゃん』

出演:萩原みのり、土手理恵子、岬ミレホ、結城さなえ、廣瀬祐樹、伊藤慶徳、寺林弘達、桜まゆみ、植田萌、柴山美保、高岡晃太郎、遠藤隆太大、津尋葵、はぎの一、三好悠生、大石将弘、小竹原晋、鶴田翔、永井ちひろ、高石舞 島津志織、秋田ようこ、中澤梓佐、カナメ、佐藤一輝、中山求一郎、松木大輔、水沢有礼、髙橋雄祐、大河内健太郎
監督・脚本:二ノ宮隆太郎|撮影監督: 四宮秀俊|サウンドデザイン:根本飛鳥|助監督:平波亘|ラインプロデューサー:鈴木徳至|ヘアメイク:河本花葉

スタイリスト:阪上秀平|撮影・照明助手:米倉伸・大西恵太|監督助手:梅田さかえ|制作助手:岡崎雅|制作応援:内堀太郎|スチール:伊藤奨
アソシエイトプロデューサー:黒川和則 児玉健太郎 里吉純|プロデューサー:市橋浩治
製作・配給:ENBU ゼミナール|宣伝:岩井秀世
©ENBU ゼミナール
公式 URL:http://ojo-chan.com/

新宿 K’s cinemaにて9月28日(土)より公開!以降全国順次