全国に先駆けた「ミュージックツーリズム」による地方創生

日本遺産の街・舞鶴と音楽業界・観光業界がタッグ!新たな地方創生の形

全国に先駆けた「ミュージックツーリズム」による地方創生

天野啓史(日本観光振興協会)、多々見良三(舞鶴市長)、椎葉克宏(oriconME)

3月20日、「全国に先駆けた「ミュージックツーリズム」による地方創生」と題した共同記者発表が行われた。
これは、地方創生に取り組む自治体、観光立国の観点から地域活性化を図る観光振興協会、ライブエンターテイメント業界を成長させたい音楽業界の三者がタッグを組んだもの。
すなわち、「音楽・エンターテイメント×観光」という組み合わせで新たな街と文化を創生することを舞鶴市を舞台に目指すものである。
oriconMEコンフィデンスの椎葉氏は、この取り組みをモデルケースとして新たなアーティストの育成と共に、他の自治体の参考にもなるようにしていきたいと語った。

舞鶴ミュージックコミッションの設立

2018年5月に「舞鶴ミュージックコミッション(MC)」が設立されるという。
これは、舞鶴市が事務局となり、
・観光業界支援=(公社)日本観光振興協会
・ライブエンターテイメント業界支援=(一社)コンサートプロモーターズ協会(ACPC)
・音楽業界支援=(株)oriconMEコンフィデンス
と、それぞれを担う。
このコミッションの目的は、音楽エンターテイメントから新たな地域文化を創り、地域資源・施設を活用した交流人口の拡大。

MC設立後すぐは、音楽関係プロモーター向けのファムトリップを募集する。すなわち、舞鶴市現地視察ツアーの募集だ。実際のファムトリップは2018年9月以降になる見込み。

窓口を一本化。舞鶴市が全面サポート

音楽フェス・ライブ・合宿・ミュージックビデオ撮影などを行おうとすると、地元との総合調整、宿泊や昼食、設備環境の手配、アセクス等の調整が煩雑になりがちだ。
そういったことの窓口を舞鶴市が一手に引き受けることと、更に魅力ある会場・施設斡旋も行うことで、主催者の必要に応じたもっとも適切な対応を行う。
市内の観光協会や商工会議所、民間企業、ボランティアスタッフ等も含めて組織化して全面サポートする。
舞鶴市は、20年来のフィルムコミッションの取り組みから、これまでも数多くの映画ロケの誘致をサポートしてきた実績があり、今度はそのノウハウを音楽エンタメにも注力する形だ。

タッグのきっかけと今後の取り組み

ライブエンタメ業界の課題

近年の音楽業界は、CDの売上以上に、ライブエンターテイメントでのチケット収益、さらにグッズ販売収益が大きなビジネスになっている。
ライブ観客動員数も右肩上がりになってきているが、一方で、会場不足・スタッフ不足・安全問題などの課題が出てきている。

また、ライブやフェスを企画する場合、会場となる地域の宿泊施設が足りているかということも課題になる。
そんな中、日本観光振興協会が公表している「地域別の宿泊予想」データを、oriconMEのスタッフが見つけ、コンフィデンス誌に掲載するようになったきっかけから、両者のつながりができた。そのなかで、舞鶴市が音楽の取り組みに非常に積極的になっているという話が出てきたのが、今回発表された『舞鶴ミュージックコミッション設立』のきっかけとなった。

全国に先駆けた「ミュージックツーリズム」による地方創生

ライブエンタメ業界は会場・宿泊施設確保が課題と語る椎葉克宏 氏(oriconME)

舞鶴市のノウハウと音楽文化への理解

日本観光振興協会と舞鶴市のつながりは、観光はもちろん、日本遺産登録(「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴. ~日本近代化の躍動を体感できるまち~ 」)で、舞鶴市をサポートしてきたこと。

日本観光振興協会の天野啓史常務理事は、次のように舞鶴市の取り組みを評価する。
「舞鶴市は、フィルムコミッションでの映画ロケ誘致の実績に加え、海上自衛隊音楽隊やジャズフェスティバルなどでの音楽の取り組みが市民レベルで理解されている。地域の活性化を成功させるためには、いかに市民を巻き込んで、市民と一体になりながらやっていくことができるかが肝だ。」

2017年10月に舞鶴市を視察した、oriconMEの椎葉氏は、その恵まれた環境に驚いたという。
赤レンガの倉庫群はすでにその内外がライブ会場としても使われているし、1500人規模のホールの他、前島埠頭などの野外音楽フェス会場とその駐車場に適した広大な立地環境があるからである。同氏は、
「舞鶴市という自治体に窓口になっていただき、地元コンサートプロモーター自身も主催者となり、まずは、どういった音楽家を呼び入れ、育成し、成長させていくかということに重点を置いて取り組んでいきたい。またこれを成功例として、他の自治体の参考にもなっていけば。」と今後の抱負を語った。

 

[写真:Ichigen Kaneda / 記事:Jun.S]

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