2009年11月に劇場公開された片渕須直監督アニメ映画「マイマイ新子と千年の魔法」をご存知だろうか?
片渕監督といえば、2016年11月に公開され、日本アカデミー賞など数々の受賞を果たした「この世界の片隅に」は、本記事執筆段階(2017年5月29日)で、公開199日目のロングランヒット記録を継続している。

その前作となる「マイマイ新子と千年の魔法」は、公開当時、作品自体は高く評価されたものの、興業的には決して成功とは言えなかったという。
それが、8年ぶりの2017年に入って、「この世界の片隅に」のルーツとして再び脚光を浴び、再上映に次ぐ再上映で、片渕監督も舞台挨拶のため日本各地を駆け回るという事態が起きている。
しかも、「この世界の片隅に」の舞台挨拶も並行して行われ続けているというからその人気と共に、片渕監督の行動力に驚きだ。

「マイマイ新子と千年の魔法」とは?

昭和30年代の山口県国衙(こくが)が舞台で、芥川賞作家・高樹のぶ子さんの自伝的小説「マイマイ新子」を原作とするアニメーション映画。
「この世界の片隅に」と同様に日常を丁寧に表現している作品で、空想好きな小学3年生の少女・新子(しんこ)と東京からの転校生で引っ込み思案な少女・貴伊子(きいこ)らとの暮らしが生き生きと描かれている。
本作を制作するにあたって、片渕監督は当時の防府市の地理・時代考証のための徹底した調査を行ったという。
それは「この世界の片隅に」でも同じだが、「マイマイ・・・」には1000年前の平安時代、防府市が「周防の国」と呼ばれていた頃も登場するため難しい調査となったという。

8年ぶり、DCPでの再上映!

「この世界の片隅に」が大評判となり、連日の舞台挨拶上映、劇場動員数110万人突破を目前としていた2017年1月20日、「マイマイ新子と千年の魔法」のDCPによる再上映と片渕監督による舞台挨拶が、東京・新宿ピカデリー最高キャパのシアター1(580席)で、行われた。
本作をDCPで上映するのはこの時が初めてだったという。
※DCP:デジタル・シネマ・パッケージの略。35mmフィルムに替わるデジタルデータでの上映方式。

その後も、不定期だが、全国各地で本作の片渕監督舞台挨拶付きの再上映が行われ、大盛況となっている。
5月27日も、物語ご当地である山口県 周南・防府で舞台挨拶付き上映が行われたばかりだ。
マイマイ新子と千年の魔法

6月8日緊急文庫化!

この再注目を受けて、株式会社筑摩書房が2017年6月8日(木)に『マイマイ新子』(ちくま文庫)を片渕須直監督の「解説」、浦谷千恵作画監督の描き下ろし挿画付きで緊急文庫化することを先日発表している。 挿絵-浦谷千恵 挿絵-浦谷千恵

片渕須直監督の「解説」より
ようやく『マイマイ新子と千年の魔法』という題でアニメーション映画化しようと目論みが立った頃には、毎日毎日日が暮れるまで遊びまわった子ども時代の楽しさなどというものに留まらない「描くべきもの」が自分の中にも蓄積されていたようだった。
あらためてお目にかかった高樹さんからはこのようにいわれた。
  「映画に作るときにどういうふうに変えていただいてもかまわないんです。ただひとつここは大事にして欲しいというものがあります」
   ――それは『切なさ』なんです。
と、高樹さんは続けられた。もはや意外とも思わず受け止めることが出来たように思う。

 マイマイ新子と千年の魔法

■ちくま文庫『マイマイ新子』高樹のぶ子
刊行日 :2017年6月8日
ページ数:352ページ
定価  :本体680円+税
ISBN  :978-4-480-43451-7
解説  :片渕須直
挿画  :浦谷千恵

■「マイマイ新子と千年の魔法」Blu-ray版
発売日   :2016年10月28日
価格    :6,980円(税込)
品番    :EYXA-11000
発売・販売元:エイベックス・ピクチャーズ

アニメ映画「マイマイ新子と千年の魔法」公式サイト