花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
後列:村田雄浩、山崎紘菜、長塚圭史、岡本太陽/前列:常盤貴子、大林宣彦監督、窪塚俊介、矢作穂香

大林宣彦監督が余命宣告を受けながらもクランクインし、ついに完成した映画『花筐/HANAGATAMI』。
実は脚本は、デビュー作『HOUSE/ハウス』(77)より以前に書き上げており、40年の時を経て映画化されることになった。
「映画化するのは終生の夢であった」と語っている大林宣彦監督の真意とは?
出演の常盤貴子、窪塚俊介らが登壇した舞台挨拶のもようをお伝えする。

物語は、太平洋戦争勃発前夜である1941年の佐賀県唐津市。
登場人物たちは、青春が戦争の消耗品だった時代を生きた10代の青年たち。
我が「生」を自分の意志で生きようとする彼らの純粋で自由な荒ぶる青春のときは儚く、迫り来る戦争の渦に巻き込まれていく。

原作は、同名小説「花筐」(檀一雄 作)で、あの三島由紀夫が小説家を目指すきっかけになった作品でもある。
尾道三部作をはじめ数多くの“古里映画”を撮り続けてきた大林宣彦が選んだ佐賀県唐津市を舞台に、唐津の魂「唐津くんち(唐津神社秋季例大祭・ユネスコ無形文化遺産)」が映画史上初の全面協力。窪塚俊介主演、満島真之介、長塚圭史、常盤貴子ほか。
『この空の花』『野のなななのか』に続く本作は、余命宣告を受けながら完成させた大林宣彦的“戦争三部作”の締めを飾る魂の集大成である。

『花筐/HANAGATAMI』
12月16日(土)、有楽町スバル座ほか全国順次公開!!
配給:新日本映画社
(C)唐津映画製作委員会/PSC 2017
公式HP:hanagatami-movie.jp

舞台挨拶

2017年10月28日(土) TOHOシネマズ六本木 SC2
登壇者:大林宣彦監督、窪塚俊介、常盤貴子、長塚圭史、村田雄浩、山崎紘菜、矢作穂香、岡本太陽

今の若い世代にこの映画を届けたい

安藤紘平(MC)
この『花筐/HANAGATAMI』、40年間温めてこられてなぜ今撮られたんですか?

大林宣彦監督
40年前にこういう映画を撮っても誰も感じてくれませんでした。
当時の日本は高度成長期が訪れて、モノとカネが豊かになればそれでいいと思っていて、戦争なんかなかったことになっていたんです。
みんな忘れてしまって日本人が全員平和難民になっていたと、当時はそういうふうに思っていました。
でも、今後(戦前のように)自由に映画を作れなくなる時が来ないように。そういう思いもこめて自由にこの『花筐』を撮らせてもらいました。
特に戦争を知らない若い人たちのためにこの映画を作りました。
僕が理解していることではなく、実感として僕の中にあることだけを正直にこの映画で表現しています。
観る方も実感を持って観ていただけたらすごく嬉しいです。

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
常盤貴子、大林宣彦監督、窪塚俊介

山崎紘菜(やまざきひろな/あきね 役)
(私の役は)戦争に巻き込まれていく女の子なんですが、この映画に参加させていただいて、なんか若者の青春っていうのはこんなに眩しくて、美しくて、儚いものなんだなっていうのをすごく学ばせていただいたので、今、青春を謳歌している若い人たちこそ、この映画を観て、次の世代にどんどん伝えていってほしいなと思いました。

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
山崎紘菜

大林監督は“自由でやんちゃ”

常盤貴子(ときわたかこ/江馬圭子 役)
檀一雄さんの原作って短編でとても薄いんです。
それが、大林宣彦監督という脳内のフィルターを通すと、純文学ってここまで行間が広がるんだって思って。そこからさらに完成した映画を観た時に、なんてやんちゃな監督なんだって思って(笑)
こんなに、自由に広げてくる監督って世界に今までにいたのかなって思うくらいにほんとに。
もちろん、監督のことですから映画を知り尽くしているからだと思うんですけど、それにしてもまぁ、自由にやんちゃに好き放題だなって(笑)、すごく感激しました。
映画の可能性というものを広げていただいた気がしましたので。

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
常盤貴子

安藤紘平(MC)
映画の可能性という意味では、山田洋次さんも(この作品を観て)「こんな可能性があるんだ」ってビックリされてました。

常盤貴子
あ、そうなんですか!

窪塚俊介(くぼづかしゅんすけ/榊山俊彦 役)
今の常盤さんのお話からつなげて、監督のやんちゃというか、そこの話をするとまず、(僕が演じた)榊山俊彦は16歳で、僕は35歳です(笑)
キャスティングに関しても自由度がこんなにあるのかということを、最初、大林恭子さん(大林宣彦監督の奥様でエグゼクティブプロデューサー)からいただいた時に少しとまどったんですけども、長塚圭史さんが僕の勇気の源というか、長塚圭史さんも同級生として参加してくださるということで(笑)

長塚圭史(ながつかけいし/吉良 役)
ほんとに驚きで(笑)
40を過ぎてこんな役をできるとは思いませんでした(笑)

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
窪塚俊介、矢作穂香、長塚圭史

観るたびに新しい発見

常盤貴子
私先日、新文芸座で『野のなななのか』という一作前の映画を拝見した時に、観た当時はわからなかった部分というか、何も考えていなかった部分が時間が経った今観て、すごく涙してしまったシーンがあって、この映画もきっと来年、5年後、10年後とまたどんどんどんどん、変わってくると思うので、その都度その都度みなさんの人生の中で観ていただけたらなと思います。是非よろしくお願いします。

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
山崎紘菜、常盤貴子

矢作穂香(やはぎのほか/江馬美那 役)
大林監督とは初めてご一緒させていただきました。
“美那”という役は結核を患っていて、痩せてないといけないんですけど、監督と最初お会いした時に、今より8kg太っていて、5kg痩せてくださいっておっしゃって、それからこの映画のために私も命を賭けようと8kg痩せて、“美那”役に挑みました。
この映画はもう4度観ているんですけど、3回目、4回目って観るたびにいろんな魅力が出てくるので、たくさんの人にたくさん観ていただきたいなと思います。

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矢作穂香

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭

三島由紀夫を生んだ“吉良”

安藤紘平(MC)
吉良青年の「こんなふうに戦争って始まるんだよね」っていうセリフが印象的でした。

長塚圭史
10代の若者を演じているんですけども、実際は40歳の僕は彼より幼い気がして、申し訳ないような気持ちで立ち向かっていました。
なので、“吉良”の役を演じる時は、何か炎のようなスイッチを入れないといけないわけです。
でも、“吉良”がそういうんだからそれに乗っかっていくという感じて演じたのかもしれません。
だから僕にとってもあれは非常に劇的な瞬間で、押されるようにセリフが出てくるという状態でした。

大林宣彦監督
現場ではほとんどテストしないんですよ。俳優さんまかせでそのままやっていただくのね。
あのシーンで長塚圭史ちゃんがぱっと立ち上がった時、「あ、戦争ってこういう時に起きるんだ」ってふっときちゃったんだよね。
で、あのシーンの最後にこのセリフを言ってってお願いしたんです。
僕にそう言わせたのは、“吉良”が言わせたんです。
実はあの三島由紀夫さんは『花筐』の“吉良”の役に憧れて、「僕も小説を書こう、僕も自由に青春を表現したい」と思うきっかけになったんですよね。
ということで、三島由紀夫を生んだのも“吉良”であったと。

長塚圭史
恐縮です(笑)
(会場笑)

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
窪塚俊介、矢作穂香、長塚圭史

ベテランの少年

大林宣彦監督
日本で女優さんに年齢を聴くと、「歳を答えるんですか?」って言われるんですが、
ハリウッドでオーディションして、俳優さんに年齢を聞きますと、たとえば「18歳から80歳までです」と、自分が演じられる年齢を答えます。
これが本来の姿なんです。
日本だけがなんだかプロとアマがいっしょになっちゃってね、お母さん役やったら二度と娘役をやれなくなるからイヤだとかね、そんなことになるんです。
この『花筐/HANAGATAMI』で演じてくれた窪塚俊介くんや長塚圭史ちゃんも、かつて青年時代を過ごしたことがあるベテランの少年たちですから。
だからこそ少年の心の痛みや悲しみが十分に表現できたと思います。ほんとうにいい演技をしてくれました。

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭
常盤貴子、大林宣彦監督

[写真・記事:Jun.S]