火口ふたり
荒井晴彦監督/柄本佑/瀧内公美

8月24日、映画『火口のふたり』の公開記念舞台挨拶が新宿武蔵野館で行われ、柄本佑、瀧内公美、荒井晴彦監督が登壇した。
結婚前に昔の恋人と再会。次第に蘇る身体の記憶。抑えきれない衝動の深みにはまっていく危ういふたりを描いた本作は、未来を見据えて選んだ結婚と、本当に好きな人との恋愛、どちらが正しい選択なのか?という究極の問いを観る者へ投げかける。
ひとそれぞれの恋愛観によって見方が異なり、近年の大ヒット作『寝ても覚めても』、『愛がなんだ』に続き、鑑賞後に熱い恋愛討論で盛り上がる現象が起きている。本作では大胆なヌードにも挑み役者魂を見せつけた柄本佑、瀧内公美が、その撮影秘話を語った。(動画&フォトギャラリー)

舞台挨拶レポート

火口のふたり
荒井晴彦監督/柄本佑/瀧内公美

舞台挨拶全編は動画でどうぞ!

柄本佑×瀧内公美で200人力!

– 監督作は、『身も心も』(1997)、『この国の空』(2015)に続いて、『火口のふたり』は3作目となります。今回、キャストが2人だけというチャレンジングな作品だと思いますが、改めてお二人とご一緒されていかがでしたか?

荒井晴彦監督
二人(だけのキャスト)は実験的だとか言われていますが、単純に予算が無いだけです(笑)
青山真治から傑作だってメールもらって、「ほんと?」って返したら、「嘘でも忖度でもありません。でも、(柄本)佑がいれば100人力かよ!とは思いました。」と。瀧内(公美)がいれば200人力です。二人のおかげです。

火口のふたり
荒井晴彦監督

柄本 佑(永原賢治 役)
青山監督は「70歳を超えた監督にこんな若い映画を撮られたらたまらない」ともおっしゃってます。

潔いほど本能のままに。

– 潔いほどに本能のままにむさぼっている姿が描かれている本作、観終わった後、ものすごい気持ち良い思いでいっぱいでした。でもパンドラの箱を開けたような怖さもありました。

柄本 佑
自分の身体の言い分に素直になっていくというのは、今の人が観るとけっこう痛快だったりするのかもしれません。

火口のふたり
柄本 佑

役の関係性を考えて順撮りで進められた撮影

– 賢治と直子の関係性はお二人でどのように作られていきましたか?

瀧内公美(佐藤直子 役)
現場ではそんなに会話することもなく、最終日の前日くらいにやっとしゃべったみたいな感じでした。
「あそこの風車が回っているのはすごいよね」「風の力なんだぜ」ってそういう話をしました。

火口のふたり
瀧内公美

柄本 佑
本編の撮影は、初めて身体を合わせるシーンまでは、台本の順番通りの「順撮り」をしてくださって、あの順番はすごく助かりましたよね。

瀧内公美
すごく助かりました。順撮りがいいっておねだりしました。その方が自分の気持ち的にも入りやすいし。

柄本 佑
写真のシーンを撮った時はまだお会いして3度めくらいだったので、緊張してたんですが、瀧内さんが堂々と男らしくどうぞ!って感じで居住まいがすごくかっこよかったです。

瀧内公美
緊張してたんですけど、写真家の野村佐紀子さんにいつのまにかのせられてました。

– 柄本さんは直子との関係性はどのように?

柄本 佑
関係はいとこ同士というのはあるけど、でも恋愛ですからね。賢治は近親相姦の負い目は感じてますが、(台本の)読み手の僕としてはそんなに違和感はなかったです。
むしろ、結婚前に昔のオトコに戻りたいという気持ちに共感できるという意見を試写会の時に聞いて、そこに驚愕しました。女性の直子への共感度が割と高いらしいです。

瀧内公美
私の友人はこの映画を見て「エモくて泣いた」って言ってました。
その子がちょうど結婚前なんですよ。なのでみんな抑圧されたものがあるのかなって。

火口のふたり

リアリティ溢れるセックスシーン

– セックスシーンがとてもリアリティがあります。そのあたりは監督含めてどんなお話をされたんですか?

柄本 佑
お話も何も、台本に全て動きが事細かく書かれているので。
その動きを覚えるのが大変でした。

日活ロマンポルノを受け継ぐ作品

– 日活ロマンポルノで荒井さんが書かれていた作品の伝統が『火口のふたり』にも受け継がれていると感じました。

柄本 佑
ロマンポルノ時代の作品を、現代で疑似体験できているのかなとは感じました。映画ファンとしても嬉しかったです。

瀧内公美
自分の作品を観るのは恥ずかしくて(笑)
でも、秋田で撮ったことがすごく良かったんだろうなとは感じます。西馬音内(にしもない)の盆踊りも素敵でした。

火口のふたり

オレは50年書いてんだよ!

– 雑誌やニュースなので高い評価が上がってますが、そのへん、監督はどうですか?

荒井晴彦監督
褒められることより、悪口が記憶に残るね。コノヤローって思う。
素人にTwitterで「説明セリフが多い」って言われると、「うっせーな!俺、50年書いてんだよ。わかっててやってんだよ!」みたいな。
って、これを言いたかったです(笑)「火口(かこう)を“ひぐち”とか読んでるヤツには言われたくねぇんだよ」ってね(笑)

荒井晴彦監督
で、一番嬉しかったのは、娘に「お父さん、3度目の正直だね」って言われたことですね。

柄本 佑
“娘”っていうのが出てくると恥ずかしい気持ちになってきました(笑)

映画をご覧になる方にメッセージ

瀧内公美
二人だけしか出てなくて、これだけ人間の3大欲求をここまで映し出しているのはなかなかないだろうなと思うので、多くの人に観てもらいたいなって思っています。

柄本 佑
きっといろんな感想などなどがあると思いますが、良くても悪くても宣伝してください。
僕の憧れの荒井晴彦監督・脚本の作品で出演できたことは、僕としては記念ですし、大事な映画作品です。それを皆さんで広げていっていただけたら幸いです。

荒井晴彦監督
劇場に来てもらわないと、制作会社が危ないんですよ。僕らもギャラをもらってないし・・・
どうしてこういう余計なことを(自分は)言うんだろ?(笑)
お客さんが来てくれれば、4作目を撮ることに繋がるかもしれないし、寿命と競争なんで大変なんですよ。身体がボロボロなんで。
とにかく宣伝してください。今日だけじゃなく、明日も来てほしいなぁ。よろしくお願いします!

フォトギャラリー

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柄本佑
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瀧内公美
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瀧内公美
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瀧内公美
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荒井晴彦監督
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[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]

映画『火口のふたり』

【物語】
十日後に結婚式を控えた直子は、故郷の秋田に帰省した昔の恋人・賢治と久しぶりの再会を果たす。
新しい生活のため片づけていた荷物の中から直子が取り出した1冊のアルバム。
そこには一糸纏わぬふたりの姿が、モノクロームの写真に映し出されていた。蘇ってくるのは、ただ欲望のままに生きていた青春の日々。
「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」
直子の婚約者が戻るまでの五日間。身体に刻まれた快楽の記憶と葛藤の果てに、ふたりが辿り着いた先は―。

出演:柄本 佑 瀧内公美
原作:白石一文「火口のふたり」(河出文庫刊)
脚本・監督:荒井晴彦 音楽:下田逸郎
製作:瀬井哲也 小西啓介 梅川治男 エグゼクティブプロデューサー:岡本東郎 森重 晃 プロデューサー:田辺隆史 行実 良
写真:野村佐紀子 絵:蜷川みほ タイトル:町口覚
配給:ファントム・フィルム  レイティング:R18+
公式HP:http://kakounofutari-movie.jp/

新宿武蔵野館ほかにて全国公開中

火口のふたり