今生きているこの身体の中で、明治と現代の二つの日本の時間を同時に体感

2月9日、東京・銀座ブロッサムにて「古代歴史文化賞」記念シンポジウムが行われ、俳優・佐野史郎が、「神話の世界に導かれて」をテーマに、彼自身のライフワークとなっている小泉八雲作品の朗読を45分以上にわたり熱を込めて披露した。(動画&フォト)

古代歴史文化賞とは

「古代歴史文化賞」は、古代歴史文化に関する書籍を表彰することを通じて、多くの人の歴史文化への関心を高めることを目的として2013年に創設された。
2月9日の「古代歴史文化賞」記念シンポジウムは、第6回「古代歴史文化賞」受賞作品が決定されたことを記念し、奈良県・島根県・三重県・和歌山県・宮崎県が合同開催したもの。
「和歌以前 儀式でうたうやまと歌」をテーマに大賞を受賞した日本語学者・犬飼隆氏が講演を行った。

俳優・佐野史郎と小泉八雲

俳優・佐野史郎は島根県松江出身で、10数年前、同市からの依頼で朗読パフォーマンスを行うようになった。明治の頃、松江市に教師として赴任した小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンが残した作品を中心とした朗読は彼のライフワークともなっている。多くの場合、同郷のギタリスト・山本恭司との共演で、朗読と音楽で創り出すパフォーマンスを披露する。

記念シンポジウムが開催されたこの日、佐野史郎が朗読したのは、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)著「神話の世界に導かれて」の新編集版「新編 日本の面影」(角川ソフィア文庫)から、「杵築(きづき=出雲大社)-日本最古の神社」の一節。
1890年代、小泉八雲が外国人として初めて、出雲大社の本殿に昇殿した時のこと、同時に明治の日本の人々の息遣い、また古事記から、天照大御神の描写部分などを、佐野史郎は熱を込めて朗読し、集まった観客は聴き入っていた。

佐野史郎
佐野史郎

佐野史郎

佐野史郎

佐野史郎さんインタビュー

小泉八雲を通して佐野史郎さんが伝えたいこと

佐野史郎
佐野史郎

– 朗読を終えられていかがですか?

佐野史郎
45分という時間制約の中で、もしかしたら急ぎ過ぎた部分があったかもしれません(笑)
でも、明治23年当時、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が初めて日本に来て、外国人として初めて出雲大社の本殿に昇殿した時のこと、その時の道中のことについて、音読として紹介されるのは非常に少ない気がするので、僕がどれくらいできるのかわからないけど、俳優としてお伝えできればと思って臨みました。

今生きているこの身体の中で、二つの時間を同時に体感

– 佐野史郎さんにとって小泉八雲とは?小泉八雲を通して何を伝えたいと考えていらっしゃいますか?

佐野史郎
私は松江の人間なので、子どもの頃から、ヘルンさんヘルンさんって親しみがあるんですけど、当時は怪談をちょっと読んだことがあるくらいでした。
そして、仕事を通していろんな紀行文や哲学的論法とかを読んでいくうちに惹き込まれていくようになりました。
1890年当時、それまでも多くの外国人が日本に来ていましたが、ほとんどが日本を未開の国と見ていただろう中で、ラフカディオ・ハーンが語った当時の日本人の品性・美意識・技術・食について、現代と何が違うのかということを。
たとえば、「目のお薬師さま」として知られる一畑薬師(いちばたやくし)は、今でも信仰されていますが、当時はまだ江戸時代の名残もあって、全国から多くの人々が参拝していたのは、現代とは違う点です。
私が、小泉八雲の物語を声を通してお伝えすることで、すなわち、今生きているこの身体の中で、二つの時間を同時に体感していただくことで、何が同じで何が変わっているのか、そして何を大事にしていくのかを、お客さんと分かち合いたいという気持ちが強いです。

朗読ダイジェスト&インタビュー動画

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