2019年2月1日、ユーロライブにて映画『THE GUILTY/ギルティ』の先行上映が行われ、上映後、ライゾマティクスリサーチ・真鍋大度と、映画評論家・森直人がトークイベントを行った。
本作は、「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」というシンプルな設定ながら、予測不可能な展開で観るものを圧倒させる。
試写会情報を得た段階から「これは観なければ!」と思い立ったという真鍋大度氏。「耳を澄まして観る、音響彫刻の映画」だと、本作のサウンドデザインを高く評価。また、自身が、最近取り組んでいる実験や作品についても語った。(動画&フォト)

ハリウッドリメイクも決定!

2018年、デンマークで製作された『THE GUILTY/ギルティ』は、第34回サンダンス映画祭で、『search/サーチ』(NEXT部門)と並び、観客賞(ワールド・シネマ・ドラマ部門)を受賞。
その後も第47回ロッテルダム国際映画祭観客賞/ユース審査員賞、第44回シアトル国際映画祭 監督賞の受賞などに加え、あのジェイク・ギレンホール主演でハリウッドリメイクも決定している。

真鍋大度が惚れ込んだ“耳で観る音響彫刻映画”

映画『THE GUILTY/ギルティ』
真鍋大度/森直人

トークイベントより。登壇者は、映画評論家・森直人氏、ライゾマティクスリサーチ ディレクター・真鍋大度氏。

トークイベントダイジェスト動画も是非!

この作品を観ようと思ったのは自分の作品テーマに近いから

森直人(映画評論家)
この『THE GUILTY/ギルティ』は試写会情報を見てピンと来られたそうですね。

真鍋大度(ライゾマティクスリサーチ ディレクター)
そうですね。ほとんど試写会は行ったことないですが、この映画は“音”にフォーカスしているということと、「音声というのは、誰一人として同じイメージを思い浮かべることがない」という言葉を目にしたこと。
また、最近、僕が興味を持ってやっている作品のテーマに近いのがあって、こりゃちょっと観ておかないとと思ったんです。

映画『THE GUILTY/ギルティ』
真鍋大度

“カクテル・パーティー効果”  「音」でシーンチェンジ

森直人
この映画は現実音だけで見せるというコンセプトですが、真鍋さんがご覧になってどう感じました?

真鍋大度
強調されているなと思ったのは、主人公がしゃべってない時に部屋の中で鳴っている機械音。ボーッていう低音だけが出ていて。
そして、会話が始まるとその音はカットされるので、音でシーンチェンジしたことがわかるなと。
“カクテル・パーティー効果”って言う、人が自分が集中している音がよく聞こえるという特性を、音響設計としてうまく作られているなと思いました。

真鍋大度が面白いと思う映画

真鍋大度
僕が面白い映画だなと思うのは、途中の段階はいろんな解釈があって、観客それぞれがいろんな解釈をしていて、最後は皆が納得する一つの解釈に向かっていくというような物語の作品です。
『THE GUILTY/ギルティ』は、音だけで複数の解釈を持たせるということをやっていて、それは逆に自由度が高くなりすぎなところを、チャレンジしてやっているなと思います。
この映画は2回観ましたが、もう1回観ても新たな発見があるんだろうなという気がします。

映画『THE GUILTY/ギルティ』

真鍋大度が今取り組んでいる実験。現代版“念写”

真鍋大度
僕は、知覚と聴覚の関係についてすごい興味があるのと、映像的な表現なんだけど、音や振動も使ったり。
最近やっているのは、「ブレイン・レコーディング」という技術で、人の視覚野の情報を取り出すことをやっています。
例えば鳥の声を聞いた時、皆さんは鳥の絵をイメージすると思いますが、その時の情報パターンを登録するわけです。
それらを蓄積すると、次にできることは、その人の視覚野の情報だけで、何をイメージしているかがわかりようになります。
現代版念写だって(一緒に研究している)先生も言ってました。
もっと進化していくとね、その人が見ている夢も取り出せるかもしれません。
けっこうプライバシーの問題に近づいていくと思うんですけど(笑)

今作っている作品は脳活動で映像を生成するもの

真鍋大度
今作っている作品は、1時間くらいの音楽の中に視覚的なことを誘発する音をたくさん入れておいて、それを聞いた時の脳活動の情報を使って、映像を生成するというものです。
背景にストーリーはあるんですけど、言葉を使っていないので、かなり抽象的な作品。

音響彫刻のような映画

森直人
『THE GUILTY/ギルティ』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

真鍋大度
ほんとに耳を澄まして観る映画。すごく細かく作り込まれている音響彫刻なので、そこも楽しめるといいかなと思います。

映画『THE GUILTY/ギルティ』
真鍋大度/森直人

映画『THE GUILTY/ギルティ』

物語

真夜中の緊急指令室。誘拐された女性からの通報。解決の手掛かりは電話の声だけ。

緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、些細な事件に応対する日々が続いていた。
そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。
彼に与えられた事件解決の手段は”電話”だけ。
車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い・・・。
微かに聞こえる音だけを手がかりに、“見えない”事件を解決することはできるのか―。

出演:ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィー
脚本・監督:グスタフ・モーラー
音楽:オスカー・スクライバーン
配給:ファントム・フィルム
原題:The Guilty|2018年|デンマーク映画
公式サイト:guilty-movie.jp/

2/22(金) 新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]